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ヒラリーに学ぶ私用メールと社用メールの使い分け - 瀧口範子 @シリコンバレーJournal

ニューズウィーク日本版 / 2015年3月28日 16時18分

 そもそも、オフィシャルなアカウントを使っていれば、会社がメールをモニターしていると思っていい。会社側は、インサイダー取引や談合、企業秘密の漏洩などの不正が起こるのを防ぐために、社員のメールをモニターする。最近ならば、人工知能を用いてモニター作業をおこなっていることもあるだろう。

 怪しいことをすると、オフィシャルなメールの場合はわかってしまうということだが、これは一方で、談合など、仕事熱心のあまりに起こしそうになる犯罪をくい止めてくれるという見方もある。もしプライベート・アカウントを使っていれば、それはない。

 もし会社から支給されたコンピューターや携帯電話を利用してプライベート・アカウントを使っていれば、自分で特別なネットワークを構築していない限り、モニターされることもあるだろうし、ハードウエアごと会社に取り上げられる可能性もある。その時、ハードウエア上のメール・クライアント(アプリケーション)にプライベート・アカウントでのやりとりが残っていれば、自然と会社の目に入る。

 プライベートなやりとりへのアクセスは、本人からの許可がない限りできないという法律はあるのだが、このあたりはオフィシャルとプライベートの区別が曖昧だ。

 セキュリティー面はどうだろうか。クリントンはオフィシャルなアカウントを使わなかったせいで、機密を危険にさらしたのだろうか。オフィシャルのメールの方がセキュリティー度は高いのか。

 残念ながら、これは比べようがない。2010年、当時米陸軍兵士だったブラッドリー・マニング(現チェルシー・マニング)が国務省のサーバーに侵入し、世界各地のアメリカ大使館から集まった機密情報をウィキリークスに流した事件は記憶に新しい。国務省でさえ、セキュリティーは完璧ではない。

 クリントン家が使っていたサーバーに関しては、「自宅はシークレット・サービスが警備しているし、サーバーはこれまで侵入されたことがない」とクリントン事務所は語っているというが、今は自宅をどんなに物理的に守っていても、ハッカーはネット経由でやってくる。

 それに、サーバーにどんなセキュリティー対策を施していようと、今では知る由もない。跡も残さず、すでに侵入されてしまっているかもしれないのだ。

 企業のアカウントも万能でないことは、先頃のソニーのハッカー侵入問題で証明済みだ。

 そうであればグーグルのGメールの方がずっと頑強そうだが、グーグルは私企業だ。政府のやりとりが私企業のサーバーに記録されることなどあってはならない。企業関係者のやりとりも、本来はグーグルなど他社のサーバー上で起こるべきではないだろう。

 信頼性も関連している。たとえば、ある企業関係者が仕事のメールを送ってきた際に、それがGメールのアカウントだったらどうなるか。よく知った仲で、またやりとりの内容がたわいないものならいいだろうが、契約や企業秘密に少しでも関わるようなことが、Gメールや他の無料メール・アカウントから送られてきたら、脇の甘い人間とみなされるだろう。相手にしてみれば、それが本当に本人かどうかを疑いたくなっても仕方がない。
 
 というわけで、オフィシャルなアカウントとプライベートなアカウントには、それぞれの目的や意味合いがある。したがって、オフィシャルであるべき時にプライベート・アカウントを使えば、それなりの理由があるとみなされても仕方がない。クリントンの場合は、「何か隠しているのではないか」という疑いが永遠に晴れないということだ。




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