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「地方創生」のカギになるのは地方移住への不安の解消

ニューズウィーク日本版 / 2015年3月30日 16時50分

首都圏で働く人の半数が、地方への転職・移住に関する情報は「不足している」と回答

 東京への一極集中を緩和して地方を活性化させる「地方創生」が日本の重要な政治課題として浮上してきている。内閣府は昨年12月、首都圏から地方への移住の促進などを目標に掲げた、「地方創生」のための今後5カ年の総合戦略をまとめたばかりだ。

 そんな中、首都圏で働く人たちの3割以上が、出身地に戻って働く「Uターン」や出身地とは別の地方に移住して働く「Iターン」に関心を持っているものの、実際にどのような仕事があるのか、また移住先でどのような生活ができるのか、といった情報については半数以上の人が「不足している」と感じていることが、ネットを使ったアンケート調査でわかった。

 リクルートキャリアが運営する求人情報サイト「リクナビNEXT」は今月、首都圏で働く20~40代の300人と首都圏から地方への転職経験者300人、さらに地方企業の採用担当者400人を対象にした、地方への転職に関するアンケート調査を実施した。

 その結果、首都圏で働く人たちの3割以上にあたる32・6%が、地方で働くことに「やや興味がある」かまたは「非常に興味がある」と回答し、「Uターン」や「Iターン」への関心が高まっていることをうかがわせた。さらに「興味がある」と答えた人のうち14・3%が「今すぐにでも地方で働きたい」と答えていた。

 その反面、地方への転職には不安を感じている人が多いこともわかった。約4割の人が「希望する仕事があるか分からない」とか「収入が減る」といった仕事に関する不安を感じ、自分と家族が地方での生活や人間関係に馴染めるかどうか不安だという回答も多かった。

 また地方への転職に関する情報が十分あるかどうかたずねると、半数以上の51・4%の人が、「あまりそう思わない」かまたは「全くそう思わない」と回答していた。実際に「不足している」情報としては、仕事に関連する事柄に加えて、「生活にかかる費用の相場」や「転職や移住後の生活に際して気をつけるべきその地方特有のこと」といった生活全般に関する具体的な情報を求める回答も多く見られた。

 一方、地方企業の採用担当者を対象にしたアンケートでは、約7割の69・8%が「Uターン」や「Iターン」の転職希望者の採用に「関心がある」と回答した。しかし、採用活動を十分にアピールできているかという質問に対して、「そう思う」と回答した担当者は約4割にとどまった。アピールできていない理由としては、約半数の担当者が採用情報や企業情報を「伝える場がない・少ない」ことをあげ、35%が「どうアピールしたら良いか分からない」と答えていた。

 調査結果から、多くの人が首都圏から地方への移住に関心を持ちながらも、移住先での仕事や生活に不安を感じ、関連した情報が「不足している」と考えていることが明らかになった。また地方企業の側も、「Uターン」や「Iターン」の希望者の採用に関心があるにも関わらず、思うように採用情報・企業情報を発信できていないことがわかった。

 首都圏から地方への転職を経験した人たちは、仕事のやりがいなどと並んで、「通勤のストレスから解放された」とか「家族と一緒に過ごす時間が増えた」といったライフスタイルの変化をその魅力としてあげている。今後地方への移住を促進して「地方創生」を実現させるためには、移住後の不安を解消して新生活へと踏み出せるような具体的な採用情報、生活情報を共有できる仕組み作りが重要になってきている。

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