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「無法状態」で混迷の深まる原子力行政 - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2015年4月16日 17時43分

 しかし田中委員長はこれを「審査の参考資料にする」とのべたので、このまま委員会が安全審査を先送りすれば、敦賀2号機はあと12年で40年の寿命が来て廃炉になる。これによって唯一の発電所の運転が不可能になる日本原電の経営は、破綻するおそれがある。つまり委員会は法的根拠なく、日本原電に「死刑宣告」を下したのだ。

 日本の原発は、2011年5月に菅元首相が浜岡原発を行政指導で止めたまま、「無法状態」が放置されている。本来は2012年の原子炉等規制法の改正で、新しい規制基準を遡及適用(バックフィット)する手続きも決めるはずだったが、民主党政権が「超法規的措置」を乱発したため、混乱状態になっているのだ。

 法改正から3年たち、今年は見直しの年である。事故の直後は関係者も動転していたのでやむをえないが、もう落ち着いて規制体系を見直すときだろう。たとえば苛酷事故が起こった場合には首相が全原発に「緊急停止命令」を出せるようにするとか、バックフィットの基準は厳格化して通常運転と切り離すなど、内閣が指導力を発揮して原発についてのルールを整備すべきだ。

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