ナミビアでの軍港建設で狙う中国の大西洋覇権
ニューズウィーク日本版 / 2015年4月20日 12時5分
アフリカ大陸を見渡せば、至る所で中国のプレゼンスを感じられる。この大陸のあちこちで、中国が多くの事業に莫大な投資をしてきたのは周知の事実。だが軍事的プレゼンスの拡大(それも大西洋岸での軍港建設)となると、まったく次元の異なる問題だ。
アフリカ南西部ナミビアでの軍事基地建設計画は、1月にナミビアの英字紙で暴露された。先月下旬に中国の代表団が訪問し、ウォルビス湾に中国艦艇6隻の拠点となる軍港を建設する協議を詰めることになっていたという。
中国もナミビアも公式には認めていないが、両国にとって地政学的にも経済的にも重要な意味を持つプロジェクトと考えられる。
この計画は、イエメンやスリランカ、マダガスカルなどで中国が進める軍港建設計画の1つだ。いずれも重要な交易ルートにあり、中国海軍による哨戒活動の拠点とすることが目的だ。
軍港ができれば、ナミビアにおける中国の存在感はさらに大きくなる。「中国はウラン鉱山を開発している。中国人の店もあちこちにある。近いうちに中国系の国会議員が誕生してもナミビア人は驚かない」と、外交問題に精通した弁護士ロバート・オブライエンは指摘する。
中国は「ウォルビス湾への大胆かつ賢明で地政学的な投資で、大西洋の覇権を争う地位を手に入れる」ことになり、「ウォルビス湾の軍港を出た中国艦艇が大西洋の向こう側の国と合同演習を実施する可能性」も高まると、オブライエンは言う。フォークランド諸島の領有権争いでイギリスと対立するアルゼンチンもその候補だ。
[2015.4.14号掲載]
ミシェル・フロルクルス
この記事に関連するニュース
-
第二次大戦後、アインシュタインも提案していた「世界から戦争をなくすただひとつの解決策」とは?
集英社オンライン / 2025年2月12日 7時0分
-
だから習近平政権は海洋進出に執着している…「東シナ海も南シナ海もインド洋も欲しい」中国の本当の野望
プレジデントオンライン / 2025年2月5日 8時15分
-
トランプ大統領は本当に日本から米軍を引き上げるのか…「遠い国の戦争」に首を突っ込む米国の真の狙い
プレジデントオンライン / 2025年1月24日 8時15分
-
吉川明日論の半導体放談 第324回 USスチール買収問題が象徴するグローバルビジネスの視界不良
マイナビニュース / 2025年1月17日 13時41分
-
HD韓国造船海洋「地政学的不確実性?むしろK-造船に好機」…米海軍艦艇の整備事業受注を目指す
KOREA WAVE / 2025年1月15日 8時0分
ランキング
-
1ビーバーのおかげで1.9億円節約、堰予定地で水せき止めてダム チェコ
AFPBB News / 2025年2月12日 18時8分
-
2北朝鮮が南北離散家族の面会施設を撤去中、韓国政府は中止求める
ロイター / 2025年2月13日 12時24分
-
3露軍、主力戦車1400両喪失 ウクライナは兵員補充に苦慮 ミリタリー・バランス最新版
産経ニュース / 2025年2月12日 20時0分
-
4ハンガリーで日本人女性が殺害される、警察が「元夫からDV」との相談放置…アイルランド人容疑者逮捕
読売新聞 / 2025年2月13日 10時17分
-
5ウクライナ産重要鉱物をアメリカに供給すれば「支援の保証に」…ベッセント米財務長官が経済協力案
読売新聞 / 2025年2月13日 10時46分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする

記事ミッション中・・・
記事にリアクションする

エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
