感情計測テクノロジーが開く新ビジネスの可能性 - 瀧口範子 @シリコンバレーJournal
ニューズウィーク日本版 / 2015年5月25日 14時3分
エモーション(感情)が、次の新しいテクノロジーになりつつある。テクノロジーであると共に、商売のネタになりそうだ。
というのも、人の感情をいろいろな方法で推測できる方法が出てきたからである。たとえば、人の声の調子から、怒っている、ハッピー、急いでいる、気が散っているといったいろいろな状態がわかる。あるいは、顔の表情から、喜んでいる、楽しんでいる、スリルを感じている、集中しているといったことがわかる。
人間ならば、ちょっとした表情の変化やしぐさで相手の感情を何となく感じることができるわけだが、これを機械がやるというわけだ。コンピューターに備えられたカメラやマイクロフォン、あるいはスマートフォンなどが音声や表情をキャッチ、それがクラウドで分析されて、「ハッピー度20%、集中度15%、共鳴度10%」などという数字になって出てくるのだ。
計測の際には、いろいろな要素が使われる。声ならばイントネーションや強さ、しゃべる速さ、使う言葉などがそのキーになる。何でもイントネーションに込められた感情は、何語であっても共通しているのだという。表情の場合は、口角が上下する度合い、目尻や目のかたちの変化、眉の動き、眉の間のしわ、頬の動きなどが計測される。表情の乏しい日本人でもどこかがきっと動いているわけで、それをすかさずキャッチするのだ。
たとえば、ビヨンド・バーバルという会社がアップルのティム・クックCEOのスピーチを音声分析したところ、最初は心配で緊張していたのが、そのうちフレンドリーな雰囲気になり、最後になると暖かさとクリエイティビティーにあふれた感情構成になったのだという。こうした分析は、リアルタイムでも可能なものだ。
さて、こうした感情テクノロジーはどんなところで使われるのだろうか。
はっきりしているのは広告である。テレビ広告をモニターに見せて、相手を引き込んでいるか、笑わせているか、といったことが分析できる。作り手の思い込みで広告を制作するのではなく、またモニターの人たちの言葉に頼るのではなく、実際の感情が計測できるということになっている。
また、カスタマーセンターでも使える。電話をかけてきた人が怒っているのかどうかをいきなり数字が表示すれば、それなりの対応の準備ができるだろう。今後もっと進むと、怒った人用の対応マニュアルが、自動的に担当者の画面に出てくるようになることだろう。生々しい感情も、先方では機械で処理されるようなものだ。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
「不機嫌アピールで、相手をコントロールする人」から離れる1つの方法
PHPオンライン衆知 / 2024年7月22日 11時50分
-
「感情認識AI」で居眠りを検知、英BlueSkeye AI社が技術実証に成功
レスポンス / 2024年7月22日 10時0分
-
BlueSkeye AI社 自動車ドライバーの居眠り検知技術の実証に成功
PR TIMES / 2024年7月18日 11時45分
-
「コンビニの募金箱」にお金を入れると健康になる…「情けは人のためならず」が科学的にも妥当である理由
プレジデントオンライン / 2024年7月15日 16時15分
-
ブランド企業がOOH広告で「アテンション」を得るための広告クリエイティブを科学的に調査
PR TIMES / 2024年6月29日 22時40分
ランキング
-
1銃撃現場で「再び集会を開く」 トランプ氏投稿、時期言及せず
共同通信 / 2024年7月27日 8時4分
-
2黒人生徒を「奴隷オークション」、南ア学校で人種差別的いじめか
AFPBB News / 2024年7月27日 11時7分
-
3パリ五輪開会式の五輪旗の掲揚で〝ミス〟 上下逆に「恥ずかしい瞬間生み出した」
産経ニュース / 2024年7月27日 14時45分
-
4佐渡金山、世界遺産に登録決定 強制労働主張の韓国同意
共同通信 / 2024年7月27日 14時40分
-
5パリ五輪開会式成功も戦争の影落とす イスラエル選手団にブーイング、テロにおびえる市民
産経ニュース / 2024年7月27日 11時29分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください