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世界企業に「尊厳」を求め始めた新興中流層

ニューズウィーク日本版 / 2015年7月1日 17時14分

「安全」だけでは足りない

 新しい中流層はネットワークでつながっている。いまスマートフォンの利用者は、世界で約20億人。19年には51億6000万人に増え、携帯電話の出荷数は90億に達するという推計もある。中流層と関わる企業や行政機関にとって、この数字は期待と同時に危機感をかき立てる。

 新興市場の中流層は、電力不足や交通渋滞など「尊厳」のかけらもない環境で暮らしている。彼らは欧米の多国籍企業なら信頼していいと感じていた。ネスレにとっては信頼回復が急務だ。

 特別な戦術や派手な広告はいらない。隣国パキスタンを見ればわかる。公共バスの新サービスによって、パキスタンではシャリフ首相の人気が急上昇。政府は3都市で7億ドルを投じ、信号のない専用レーンにエアコン付きバスを走らせている。農民も中流層も官僚も、清潔で時間に正確なバスを安心して利用できるようになった。人々はバスの中で過ごす短い時間にも、自らの「尊厳」が保たれていると感じることができる。

 ネスレは長年にわたり、安全な食品を提供してきた(すべてが健康的とは言えないかもしれないが)。今回のインドでの騒動もやがて収束するだろう。

 1つ付け加えれば、ネスレがすべきなのは安全性をアピールすることだけでなく、インド人の尊厳を大切にすることだ。

[2015.6.23号掲載]
アフシン・モラビ(本誌コラムニスト)


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