1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

混迷極める中東情勢、自力の枠組み構築は不可能に

ニューズウィーク日本版 / 2015年7月3日 18時34分

 中東が重要な地域である理由は、石油だけではない。対立が悪化して拡大すれば、やがて大国を巻き込むと、私たちは20世紀に学んだはずだ。

 ISISなど過激派との戦いは、軍事的にもイデオロギー的にも消耗戦だ。地域の包括的な枠組みだけでは倒せないだろう。しかし、イランやサウジアラビアが次々に代理戦争の火を放てば、世界は危険にさらされる。

 ナポレオン戦争で混乱したヨーロッパは、1814年に始まったウィーン会議で新たな国際秩序を築いた。オーストリアの外相として会議を主宰したメッテルニヒのような政治家は、現代の中東にはいない。

 ここで、日本は独自の役割を演じることができる。日本政府とサウジアラビア政府の関係はかなり良好で、イラン政府との結び付きも強い。日本は双方から信頼を得ている数少ない国として、地域の外交および安全保障の枠組みづくりを主導すれば、全体として受け入れられやすいだろう。

 欧米や中国にも果たせる役割はあるが、先頭に立つのは日本が最適だろう。リスクの高い外交戦略だが、力強い外交姿勢を発信すれば、日本が地政学の主役に復帰したというのろしになり、アジアを代表する民主主義国として歓迎される。

[2015.7. 7号掲載]
アフシン・モラビ(本誌コラムニスト)


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください