中国の軍事的膨張で変容する太平洋の秩序 - 池田信夫 エコノMIX異論正論
ニューズウィーク日本版 / 2015年7月23日 19時4分
そして次の混乱の原因となりそうなのは、アジアである。それを防ぐ上でキッシンジャーが高く評価しているのは日本だ。中国はウェストファリア条約以来の西洋的な秩序に挑戦し、アメリカと太平洋を分割しようとしている。これに対して日本は欧米と価値観を共有できるアジアで唯一の国として、その地政学的な重要性は高まっている。
近代的な主権国家の概念が、中国にはもともとない。そこでは伝統的に全世界がその版図であり、対等な国家が条約で平和を維持することもない。皇帝に臣下が従うように周辺国は中国に従うので、海外に植民地を求めることもない。むしろ周辺国は皇帝に対して朝貢を行ない、文化的に一体化することが求められた。
国連が機能しない限り世界の警察は必要であり、その役割を果たせる国はアメリカ以外にない。ハーバード大学の研究によれば、新興秩序が既存秩序に挑戦した歴史上の15件のうち10件で戦争が起こった。戦争が起こるかどうかを決める要因として重要なのは、軍事力より秩序概念の違いだという。
西洋的な国際秩序とまったく異なる概念で世界をみている中国が、太平洋でアメリカと妥協するかどうかはわからない。アジアで欧米と価値観を共有でき、平和と安定の柱となりうる国は日本しかない。参議院では、憲法改正を含めて、21世紀の世界秩序を見据えた建設的な議論を期待したい。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
スロバキア首相銃撃、欧州の政治的分極化が最悪の形で露呈 強権政策に市民ら反発
産経ニュース / 2024年5月16日 14時43分
-
国際情勢からの日本の憲法改正の必要性(下)アメリカが切望する日本の改憲
Japan In-depth / 2024年5月1日 17時0分
-
与野党ダメダメで韓国政治が混迷していく理由 尹錫悦大統領も最大野党も抱えるさまざまなリスク
東洋経済オンライン / 2024年5月1日 8時0分
-
国際情勢からの日本の憲法改正の必要性(上)抑止の否定は日本の滅亡へ
Japan In-depth / 2024年4月30日 20時16分
-
《引退してほしい女性政治家ランキング》2位杉田水脈にダブルスコア!圧倒的1位は「客寄せパンダ」
週刊女性PRIME / 2024年4月23日 11時0分
ランキング
-
1北朝鮮の孤児院で乳幼児7人が栄養失調で死亡 職員らが子どもに与える食糧を横領していたとして逮捕、食糧事情の悪さが浮き彫りに
NEWSポストセブン / 2024年5月18日 7時15分
-
2ニュース裏表 峯村健司 中国監視船内に2カ月拘留中の台湾軍人…軍事行動・スパイ活動の嫌疑「意図的に拘束」か 台湾有事〝最前線〟金門島ルポ・第2弾
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月18日 10時0分
-
3「悪魔崇拝者」250人超逮捕 イラン
AFPBB News / 2024年5月18日 14時58分
-
4米大使、初の与那国島訪問=台湾情勢巡り中国けん制
時事通信 / 2024年5月17日 21時8分
-
5米テキサス州ヒューストンでハリケーン並み暴風雨、4人死亡
日テレNEWS NNN / 2024年5月18日 11時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください