日本の成人の「生涯学習」率は先進国で最低
ニューズウィーク日本版 / 2015年8月4日 16時30分
また、1つの組織に依拠せず、時には「外の空気」を吸うことも重要だ。自分の置かれた状況(労働条件など)を相対視し、視野を広げる良い機会になる。利益追求だけでなく、社会的な視点から自分の仕事を捉え直すこともできる。その意味で大学など高等教育機関の果たす役割は大きい。
日本では「児童期→教育期→仕事期→引退期」という直線の「ライフコース」が一般的で、教育を受ける機会が人生の初期に集中している。<図2>に描かれた「L字型」はその傾向を良く表している。これを是正して、社会に出てからも学び直しができるようにすれば、10代の熾烈な受験競争は緩和されるかもしれない。貧困などの理由で進学できなかった人も、成人してからその機会が得られるようになる。
求められるのは、教育期と仕事期(引退期)の間を自由に行き来できる「リカレント教育」の実現だ。これは1970年代初頭にOECDが提唱した概念で、北欧を始めとした先進国では徐々に実現されている。社会変化が加速し、少子高齢化が進むこれからの日本社会には、「直線モデル」ではなく「リカレントモデル」がふさわしい。
(出典資料:OECD「国際成人力調査(PIAAC 2012)」)
<筆者の舞田敏彦氏は武蔵野大学講師(教育学)。公式ブログは「データえっせい」>
舞田敏彦
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