原爆投下に対するアメリカ人の見方に変化が
ニューズウィーク日本版 / 2015年8月6日 16時20分
広島と長崎に原爆が投下されてから70年――。
これまでアメリカでは、原爆投下は戦争を早く終わらせるために必要な「正しい」判断だったという見方が世論の大勢を占めていた。しかし70年の時を経て、その意識に変化が起こり始めている。
インターネットマーケティングリサーチ会社の「YouGov(ユーガブ)」が先月発表したアメリカ人の意識調査によると、広島と長崎に原爆を投下した判断を「正しかった」と回答した人は全体の45%で、「間違っていた」と回答した人の29%を依然として上回っていた。
しかし調査結果を年齢別に見ると、18~29歳の若年層では、45%が「間違っていた」と回答し、「正しかった」と回答した41%を上回った。また30~44歳の中年層でも、36%が「間違っていた」と回答し、「正しかった」と回答した33%をわずかに上回った。
それよりも上の年齢層では、やはり原爆投下を「正しかった」と考える人が多数を占め、45~65歳では約55%、65歳以上では65%が「正しかった」と回答した。
今回の調査では、特に29歳以下の若年層で原爆投下に関する意識が大きく変化していることがわかった。これまでアメリカでは、原爆投下を肯定する意見が世論の大半を占め、世論調査機関ギャラップが戦後50年に実施した調査では59%が、戦後60年の調査では57%が原爆投下を支持していた。
一方同じ調査で、アメリカ人全体の62%が「核兵器の発明」そのものを「悪い事」だった、と回答している。日米の戦争の記憶が薄れる中、アメリカの若い世代では、核兵器が絶対悪だという忌避感が強まり、さらに原爆投下を「間違っていた」と考える方向へ徐々に変化していることがうかがえる。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
この記事に関連するニュース
-
戦争も核兵器もない世界願い 高岡市で原爆パネル展
KNB北日本放送 / 2024年7月25日 19時14分
-
【特集】「原爆の父」オッペンハイマーが涙を流し謝罪 証言映像を広島で発見
広島テレビ ニュース / 2024年7月18日 19時48分
-
綾瀬はるかさんが語る321人の言葉 映画「いしぶみ」上映会7月21日(日)〔東京〕
PR TIMES / 2024年7月9日 12時15分
-
戦後、日本が「分断国家」にならずに済んだ深い事情 「米軍による占領」と引き換えにソ連が得たもの
東洋経済オンライン / 2024年7月2日 20時0分
-
【特集】「私たちは、同じ人間なのだから」 原爆の憎しみを乗り越えて伝えるメッセージ
広島テレビ ニュース / 2024年6月27日 7時0分
ランキング
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください