「台風の目」トランプの意外な実力
ニューズウィーク日本版 / 2015年8月19日 17時30分
トランプのライフスタイルが敬遠される恐れもある。低学歴の白人有権者は、キリスト教福音派であることが多い。田舎町の超保守的な教会に通う彼らが、ニューヨークにギラギラの不動産をいくつも持ち、ド派手な人生を送るトランプに共感することは難しいだろう。
それでもトランプにはいくらかチャンスがある。アメリカでは92年に、やはり大富豪のロス・ペローが大統領選に出馬。保護貿易を唱え、大成功したビジネスマンとしてアメリカ経済を立て直すと主張したあたりは(選挙費用を自腹で負担したことも)、トランプにそっくりだ。
ペローは民主党でも共和党でもなく、いわゆる第3党の候補として出馬したが、11月の一般投票で約19%もの票を得た。
だとすれば、共和党に一定の支持基盤を築きつつあるトランプが、予備選でかなりの票を集めたとしてもおかしくない。事実、トランプは現在、ブッシュやウォーカーを抑えて断トツの支持率ナンバーワンにある。
たとえ大統領になれなくても、彼には痛くもかゆくもないだろう。自由貿易を攻撃して、共和党予備選に一波乱起こしたのだ、目立ちたがり屋のトランプは大満足に違いない。
[2015.8.11号掲載]
マシュー・クーパー
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