打倒ISISで2大テロ組織が共闘
ニューズウィーク日本版 / 2015年8月31日 13時1分
アフガニスタンとパキスタンは、3つの主要なイスラム過激派テロ組織が併存する唯一の地域だ。その1つであるISIS(自称イスラム国、別名ISIL)が勢力を拡大させるなかで、これまで緩やかに連携してきた残る2つの組織、アルカイダとタリバンの合体が加速する可能性が出てきた。
ISISは昨年以降、中東だけでなくアフガニスタンとパキスタンへ本格的に進出している。一方のタリバンは、ISISの台頭に加えて、最高指導者ムハマド・オマルの死により打撃を被っていた。タリバンは先月末、13年にオマルが病死していたと明らかにしたばかりだ。
しかし先週、タリバンの立場を大幅に強める動きがあった。アルカイダの最高指導者アイマン・アル・ザワヒリがタリバンへの忠誠を表明したのだ。「(ウサマ・)ビンラディン指導者や殉教した同志たちがオマル師に忠誠を誓ったように、私も忠誠を誓う」と、ザワヒリ(とされる人物)はネット上に公表された録音メッセージで述べた。
ISISに広大な土地を奪われたタリバン
オマルの後を継いだアクタル・ムハマド・マンスールは、一部の有力タリバン幹部とアルカイダ系グループから最高指導者として認められていなかったが、ザワヒリの忠誠表明により、リーダーとしての正統性が強まるかもしれない。これでタリバンとアルカイダの一体化も進む可能性がある。
ISISは、タリバンとアルカイダからの離反を誘い、勢力を広げようとしてきた。1月には、アフガニスタンとパキスタンの一部を「ホラサン州」として「領土」とすると表明。同州の幹部に任命された12人のうち少なくとも5人は、タリバン系組織を離脱した面々だった。ISISは6月、タリバンが支配していたアフガニスタンの広い地域を支配下に収めたとも報じられている。
世界を震え上がらせてきた2つの過激派組織は、強力なライバルの進撃を止められるのか。
[2015.8.25号掲載]
アレッサンドリア・マシ
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