戦略なきツイッターの命運が尽きるとき
ニューズウィーク日本版 / 2015年9月14日 17時0分
ツイッターが伸び悩んでいる。それはこの会社が、本質的に大きな問題を抱えているからだ。
ツイッターはテクノロジーブームに乗って、たまたま大ヒットしたオモチャのようなもの。絶えず進化を続けるフェイスブックや、画期的な配車アプリでタクシーの在り方を変えつつあるウーバーとは全然違う。
大成功しているテクノロジー企業は、何らかのビジョンに基づき設立される。創業者が何らかの問題を解決したり、物事のやり方を変えるテクノロジーを発明して、それを広めるために会社を立ち上げるのだ。
ツイッターは違う。どちらかといえば偶然ヒットしただけなのに、創業者は自分たちが賢いから成功したと思っている。だからいま苦境に立たされても、どうしていいか分からない。
ポッドキャストの会社オデオを運営していたエバン・ウィリアムズの支援を受けて、起業家のジャック・ドーシーがツイッターを立ち上げたのは06年7月のこと。ドーシーはかねてから、携帯電話のSMS(ショート・メッセージ・サービス)を使って、自分のやっていることを不特定多数の人に発信できたら面白いと考えていた。
テキスト版のラジオ放送のような感覚だが、06年7月というタイミングが絶妙だった。ちょうど文字入力をしやすいキーパッド付きのスマートフォン(スマホ)人気が急拡大。だが現在のようなアプリはなかったから、SMSベースのツイッターに注目が集まった。
フェイスブックは04年に設立されていたが、当時はまだパソコンからの利用が主流。スマホ経由では使われていなかった。アップルの初代iPhoneが発売されたのは翌07年のことで、まともなアプリはなかった。こうした環境がツイッターの爆発的拡大を後押しした。
07年半ばまでにツイッターは急速に拡大。ウィリアムズはツイッターをオデオから分離して、ドーシーらと共に「共同創業者」の肩書を得た。だが創業者の誰一人として、ツイッターという未来ある赤ん坊をどう育てていいか分からなかった。
社内人事のゴタゴタも
筆者は08年にウィリアムズの話を聞く機会があったが、このときも明確なビジョンはなかった。「この電車を動かしているのは私ではないのは確かだ」と、ウィリアムズは言った。「ただ、線路がどこに向かっているかを見極めようと努力している」
そうこうしている間に、ツイッターの優位は縮小していった。写真共有アプリのインスタグラムや、写真付きメッセージアプリ(ただし開封後に自動削除される)のスナップチャットなど、魅力的なソーシャルメディアが続々と登場して人気を博するようになった。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
米メタの「スレッズ」、来年初に広告導入=報道
ロイター / 2024年11月14日 12時16分
-
米メタ、独禁法違反の裁判に直面 インスタグラムとワッツアップ買収巡り
ロイター / 2024年11月14日 3時53分
-
ジャック・ドーシー氏のBlock(旧Square)、TIDALとTBD縮小へ
ITmedia NEWS / 2024年11月9日 7時55分
-
「シグナル」闇バイトに悪用されるアプリの正体 徹底したプライバシー保護姿勢が生まれた背景
東洋経済オンライン / 2024年11月6日 9時0分
-
「GAFAMだから何でも売れる」は大間違い…この20年に生み出してきた「記憶から消したい失敗作」の数々
プレジデントオンライン / 2024年10月31日 8時15分
ランキング
-
1春日部のイトーヨーカドーが閉店=「しんちゃん」のスーパーのモデル
時事通信 / 2024年11月24日 19時58分
-
2「京急」「京成」に照準定めた旧村上ファンドの思惑 2006年の「阪急・阪神合併」の再現を想起
東洋経済オンライン / 2024年11月25日 7時50分
-
3みずほ「楽天カードに出資」に透ける将来への布石 サービス協業や業務連携だけにとどまらない
東洋経済オンライン / 2024年11月25日 7時30分
-
4トヨタ『ランドクルーザー』リコール…ドライブシャフト不良、走行不可能になる恐れ
レスポンス / 2024年11月24日 18時30分
-
5異例の「ケーブル盗難でリフト運休」 スキーシーズン前に 捜査は継続中
乗りものニュース / 2024年11月24日 14時12分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください