米教科書問題「奴隷は『移住してきた労働者』」
ニューズウィーク日本版 / 2015年10月21日 17時30分
米テキサス州の教育委員会が認定した高校教科書「世界地理」で、アメリカに送られたアフリカ人奴隷を指して「労働者」という表現が使われていた。出版元のマグロウヒル・エデュケーションは来月以降、販売済みの教科書を無償で取り換えるか、修正用のシールを提供する方針を明らかにした。
問題が明るみに出たきっかけは、フェイスブックへの投稿だった。州内に住む女性が息子の撮った問題部分の写真を投稿し、大変な反響を呼んだ。
「移住の形態」という見出しが付けられた地図の説明に「大西洋奴隷貿易により、アフリカから何百万もの労働者が米南部のプランテーションに連れてこられた」と書かれている。奴隷を「労働者」と言い換え、「移住」という言葉を使うのは歴史の抹消だと、この女性は考えた。
ただちに修正に着手
テキサス州教育庁によると、州内では394学区で14万部近くが購入され、約半数はネット版だという。ネット版の修正には出版元がただちに着手した。
印刷版については多くの学校が、本の再配布より負担の軽い修正シールの提供を選ぶだろう。シール貼りに人手が必要なら、出版元が担当者を送るという。
マグロウヒルは先週、謝罪の声明を発表。デービッド・レビンCEOは、社員宛ての書簡に「人生でも仕事でも過ちはある。過ちをただす第一歩は、過ちを認めることだ」「私たちは過ちを犯した」と書いている。
[2015.10.20号掲載]
ゾーイ・シュランガー
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