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スマホを使った特化型のオンデマンドサービスの台頭で生活が変わる

ニューズウィーク日本版 / 2015年10月28日 6時30分

 関東平野がすっぽり入ってしまうほどの大きさのアメリカ・ロサンゼルス。ダウンタウンなど商店などが集中している場所も中にはあるが、基本的には車で移動しないことには機能しない都市だ。ところが最近、スマホを使った特化型のオンデマンドサービスの台頭によってそれが変わってきている。

 共働き世帯やカップルをターゲットにするのが、料理キットサービスだ。仕事が忙しい時期は、食材の買い出しも面倒に感じる。「Blue Apron」や「Hello Fresh」といったサービスは独自にレシピを考案し、それを作るために必要な分の食材や調味料をまとめて届けてくれる。これなら、料理する度に材料を使い切るため無駄もない。

Blue Apron動画:


 健康を気をする人のためにヘルシーな食事を出前してくれるのが、「Munchery」 だ。専属のシェフが作るメイン・ディッシュ、サラダ、デザートなどがある。現在はサンフランシスコのみで展開するのが、アジアンな弁当を5〜10分で届けてくれる「Bento」だ。Uberもまた、「UberEATS」というフードデリバリーをロサンゼルスの一部地域限定で試験展開している。8ドル〜12ドルの地元レストランの料理をUberのドライバーが届けてくれるものだ。

UberEATS動画:


 オンデマンドサービスは、食事以外にも日常生活における様々なシーンで登場している。「Washio」は、洗濯とドライクリーニングのサービスだ。スマホの専用アプリからクリーニングに出したいものを選んで申し込むと、最短30分で家まで取りに来てくれる。もちろん、時間指定も可能だ。実際に使ってみたが、ブラウス一枚4.49ドル、ジャケット8.99ドルなど価格もリーズナブルで仕上がりにも満足だった。24時間頼めて、翌日に届けてもらうオプションがあるのも助かる。

Washio動画:


 郵便局へのおつかいをしてくれるのが「Shyp」だ。現在は、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ニューヨーク、マイアミ、シカゴの5都市で展開している。スマホの専用アプリで依頼をすると、ものの20分で送りたいものをピックアップしに来てくれる。Shypの倉庫で梱包した上で発送してくれるため、送る側には何の準備もいらない。運送費用を比較することで最も安価な業者を選ぶ仕組みなど、透明性も高くて安心だ。

Shyp動画:


 郵便局に足を運ぶ頻度は一般家庭では限られるかもしれないが、例えば、オンラインショッピングの商品返却などにも使える。返却の手間を考えて止む無くキープしていた商品も簡単に手を離れる。また、ハンドメイドマーケットプレイスの「Etsy」や、世界中のバイヤーが現地の商品を代わりに購入してくれる「Buyma」のようなサービスで稼ぐ人にとっては、心強い助っ人になるだろう。

 気が遠くなりそうになる渋滞や、目的地での駐車スペース探し。ロサンゼルスでは、ひとたび車に乗って出掛けたなら、最低でも30分は失う覚悟が必要だと言われている。こうした特化型のオンデマンドサービスは、単なるアウトソースの利便性を越え、車社会ならではの不便によってその価値を多いに発揮していると言える。

三橋ゆか里(ITライター)

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