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【地図で読む】18歳以下の「子供兵士」は世界に約25万人いる

ニューズウィーク日本版 / 2015年11月3日 17時5分

子供にも権利がある

 1989 年、世界の多くの国の指導者が集まった第84 回国連総会で、18 歳未満の子供たちは、世界を通して、紛争や暴力のいちばんの犠牲者であることが認められた。その国連総会では、子供たちはとくに保護されなければならないことが採択され、そのための条約「子供の権利条約」が成立した。これは子供の権利を明言し、署名各国(アメリカとソマリアだけが署名しなかった)にそれを守ることを義務づけるものだ。それによって、子供たちは自分たちに認められた権利を主張することができる。

 ヨーロッパでは30 の国が、子供なら誰でも連絡して相談できる「子供の権利擁護機関」を設置している。しかし、外国から1人で来た子供や、不法滞在の両親の子供など、一部の子供たちに対して法律は必ずしも適用されておらず、その権利が守られないこともある。

 世界レベルでは、やるべきことがまだたくさん残っている。たとえば子供たちの就労問題だ。ユニセフによると、5歳から14 歳の子供の2億5000 万人、つまり世界で4人に1人の子供が、一般的に見て受け入れがたい条件で働かされている。畑仕事や鉱山、作業所に雇われ、また使用人や兵士としてこき使われて、肉体的・精神的発達や感情面のバランスに害を与えるほどの仕事をさせられているのである。これに対し、国際的な組織や団体が政府に圧力をかけ、子供たちの基本的な権利を守らせるようにしている。

子供は大人と同じと見てはいけない

 子供は人間として成長過程にあるので、大人より傷つきやすく、司法が定める年齢に適合した権利の恩恵を受けなければならない。「子供の権利条約」では、子供が法律を犯した場合はその年齢を考慮し、社会に復帰させるようにしなければならないと明記している。

子供使用人たちの地獄

 ハイチ[中央アメリカ・西インド諸島の国]では、7万人以上の子供たちが使用人として雇われている。多くは農村出身の貧しい家の子である。現実の生活は悲惨だ。その1人アンドレは、自分の本当の名前も年齢も知らない。小さいときに母親を亡くし、父親が彼の世話をできなかったことから、ある家の使用人として働かされることになった。そこで辛い家事をさせられ、お金はもらえず、床にじかに寝かせられていたのだが、怖くてどんな扱いを受けていたかは誰にも話せないでいた。その後、アンドレはこの家から逃げ出したのだが、自分がどんな生活をしていたのかを話すのに苦労した。


知っていましたか?
フランスでは1994 年以来、年に1日だけ国民議会が子供議会に変わる。これまで子供代議士によって可決された四つの提案が、大人の国民議会で可決されて法律になっている。


※第3回【地図で読む】国際的な移民の数は世界人口の3%にすぎない:はこちら

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