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「ゲイは献血禁止」差別撤廃へ

ニューズウィーク日本版 / 2015年11月13日 12時32分

 ゲイの人々が、新たな平等を手にした。

 フランスが先週、ゲイの男性の献血を禁じた規則を段階的に緩和すると発表した。この規則はエイズの感染拡大を防ぐため、83年に導入されたものだ。

 来年からは同性愛の男性であっても過去1年間性行為をしていない人は、全血献血ができるようになる。特定のパートナーとだけ性行為をしているか、過去4カ月間性行為をしなかった人は血漿(けっしょう)成分献血ができる。

 改定の影響をモニターし、感染が広がらなければ、17年にもう1段階枠を広げる方針だ。

 ゲイの献血禁止のルールは、イギリス、アメリカ、オーストラリア、スウェーデンにもある。イギリス(北アイルランドを除く)はゲイとバイセクシュアルの男性の献血を生涯禁じた規則を11年に廃止したが、過去1年間に同性と性行為をした男性の献血は今も禁止されている。

 米当局はエイズ患者が確認された77年以降に同性と性行為をした男性の献血を禁じている。米食品医薬品局(FDA)は生涯の禁止を性行為から1年間の禁止にする緩和案を検討中だ。

輸血で4000人が感染したことも

 ゲイとバイセクシュアルの男性はエイズ感染の高リスク群に分類されており、イギリスでは17人に1人、ロンドンに限れば8人に1人が感染しているとの報告もある。米疾病対策センター(CDC)によると、ゲイとバイセクシュアルの男性はアメリカの人口の2%にすぎないが、エイズ感染者の6割近くを占めるという。

 とりわけ仏当局にはゲイの献血禁止の緩和に手を付けにくい事情があった。輸血感染のリスクがまだ十分知られていなかった85年、輸血による感染者が4000人前後報告され、首相や保健相の刑事責任が問われる一大スキャンダルに発展。当時の保健相は99年に不作為による殺人で有罪になっている。

 タブーと差別を打破する試みは、ゲイの権利団体からも勇気ある決断と歓迎されている。

[2015.11.17号掲載]
コナー・ギャフィー

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