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ベルギー「テロリストの温床」の街

ニューズウィーク日本版 / 2015年11月17日 17時33分

 先週のパリ同時多発テロでは、捜査線上にたびたびベルギーが浮上した。なかでも注目を集めているのが、首都ブリュッセルのモレンベーク地区だ。イスラム教徒が多いモレンベークは、地元では以前からテロリストの温床とみなされてきたが、今回のテロでも容疑者数人がこの地区の出身だということが明らかになった。

 パリ同時多発テロでは、少なくとも132人が死亡、349人が負傷し、イスラム国(ISIS)が犯行声明を出している。警察は、ISISとのつながりが疑われる人物としてサラ・アブデスラムを特定した。モレンベーク在住のフランス人だ。同じくフランス人の兄弟イブライム・アブデスラムは、事件当日にカフェで自爆している。

外国人もここから聖戦へ

 英インディペンデント紙によれば、今回のテロの首謀者とみられるシリア在住のベルギー人、アブデルハミド・アバウドもモレンベークとつながりがあるという。

 モレンベークにはモロッコ系やトルコ系移民の大きなイスラムコミュニティーがある。貧困で失業率は3割近く、町のモスクのいくつかは、イスラム過激派の新兵勧誘に場所を提供していると、GQ誌は指摘する。

 シリアやイラクでのジハードに参戦して帰還する外国人戦闘員の住民に占める割合がヨーロッパで最も高いという。

 モレンベークのテロリズムとのつながりはいまに始まったことではない。2004年のマドリード列車爆破テロでは、191人が死亡、約2,000人が負傷したが、容疑者の1人はモレンベーク出身のモロッコ人だった。

 今回のテロで、ベルギーもいよいよモレンベークの悪評を放置できなくなった。シャルル・ミシェル首相は先週末、フランスのTV局に「何かあると、たいがいモレンベークが絡んでいる」と語った。「今後は強硬手段をとるしかない。これまでの対策は放任主義で手ぬるかった。今そのツケを払わされている」

 その強硬手段がまた、憎しみの連鎖を生むのだろうか。

ナタリー・イルスレイ

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