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「ゴミを捨てないで」が景観を損なってしまうという矛盾

ニューズウィーク日本版 / 2015年11月19日 19時46分

人を怖がらせてしまう点滴スタンド

 点滴スタンドは患者の治療をするためにあり、本来なら患者を安心させる存在です。しかし従来の点滴スタンドは点滴ボトルが直に見えたり、ステンレスの無機質さが冷たく感じられるなど、むしろ患者を不安にさせる要素が多くありました。これは矛盾のバグです。

 看護師の山本典子さんは、現場での経験をもとに医療機器に足りない気づきを商品化する会社、株式会社メディディア 医療デザイン研究所を立ち上げました。そこからデザイン依頼を受け、生まれたのが点滴スタンド「feel」です。

 材質を木製に替え、北欧家具のようなインテリア性を備えています。子どもと一緒に移動する際、サポートできる円形の持ち手やバッグを掛けられるフックなどが、手がふさがる患者の行為を想定してつけられています。

 子どもが点滴ボトルに不安感を抱かないように、かわいいアイコン黒板で覆うなど、「医療器具は、機能だけでなくポジティブな環境作りにも貢献するべき」という「サムシング・インサイド」を核にして、さまざまな賞を受賞したプロダクトとなりました。

一般的な点滴スタンド(上)と、矛盾のバグを解決した「feel」(『問題解決に効く「行為のデザイン」思考法』より)

※後編:「上に行くエスカレーター?」と迷わせたら、デザインの負け はこちら

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