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「少女自爆」のボコ・ハラムはISを上回る世界一の殺戮集団

ニューズウィーク日本版 / 2015年11月20日 17時0分

 テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)がヨーロッパやアフリカ、中東で残虐なテロ集団として悪名を轟かせるなか、昨年世界で最も人を殺したテロ集団はナイジェリアのイスラム過激派ボコ・ハラムであることが最新の報告書でわかった。

 米メリーランド大学の集計を基にしてシンクタンク「経済・平和研究所」がまとめた今年の報告書「グローバル・テロリズム・インデックス」によると、ナイジェリア西部で武装闘争を続けるボコ・ハラムは昨年6644人を殺害。ISISは6073人だった。

 しかも昨年ボコ・ハラムに殺された犠牲者数は、前年の4倍以上に増えている。テロの形態は自爆テロ、町や村落の焼き打ちなどだ。国際的な人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、ボコ・ハラムの「殺人、拷問、強姦」等のテロ行為は「人道に対する罪」にあたると告発。警戒のためナイジェリア北東部の3州では非常事態宣言が続いている。

イスラム国家建設を目指し1万7000人を殺害

 ボコ・ハラムは、所在不明の指導者アブバカル・シェカウが今年3月に流したと言われる音声メッセージでISISへの忠誠を誓い、今年に入ってからもテロを継続している。その後、グループの名称を「イスラム国西アフリカ州」へと変更した。

 今週17日に北東部の都市ヨラで起きた爆弾テロで30人以上が死亡した事件でも関与が疑われているほか、翌日には北部の都市カノの携帯電話市場の雑踏で、2人の女による自爆テロがあり、少なくとも15人が死亡した。女のうち1人は11歳の少女だった。

 今年の報告書によると、世界のテロ活動は過去最高水準になっていて、発生件数は2000年の約10倍に増えている。昨年テロで殺害された人は3万2658人で、前年から80%増加した。そして昨年発生したテロのうち75%が、パキスタン、ナイジェリア、アフガニスタン、シリア、イラクの5カ国に集中している。

 ISISとボコ・ハラムは、昨年死者が出たテロの51%に関与していた。

 ボコ・ハラムは、イスラム法に基づく国家建設を標榜して2009年から武装闘争を続けている。これによって少なくとも260万人が家を追われ、少なくとも1万7000人が殺され、数百人を超える人が拉致された。昨年4月、北東部のチボクで女子校が襲撃されて276人の女子生徒が拉致された事件は世界に衝撃を与えた。事件発生から1年が経過した今年4月の時点で、拉致された女子生徒のうち約50人は逃げ出したが、219人は行方不明のままだ。

 今年3月の大統領選で当選したムハンマド・ブハリ新大統領は、自身が北部出身であることから、年末までにボコ・ハラムを壊滅させることを目指している。


ジャック・ムーア

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