生活苦から「ブラックバイト」に追い込まれる日本の学生
ニューズウィーク日本版 / 2015年11月25日 15時0分
一般の買い物と同様、高等教育の利益は個人に回帰するのだから、その費用は本人が負担すべきだという考え方もある。しかし多くの人が高等教育を受けることで、高度な知識が普及し、教育に基づいた道徳心が増し、犯罪が減るなど社会にとっての利益も期待できる。
そもそも教育は、私財ではなく公共財としての性格を持っている。能力と意志のある者には家庭の経済状況に関わりなく、その機会が保障されるべきという「教育の機会均等」の原則は、法律でも定められている(教育基本法第4条)。政府はそれを実現する義務があるが、実質ローンの奨学金だけで十分なわけがない。高等教育を私費負担に頼る構造は見直す時に来ている。
<資料:『日本大学学生生活実態調査』(2012年度)、
OECD『Education at a Glance 2015』>
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[筆者の舞田敏彦氏は武蔵野大学講師(教育学)。公式ブログは「データえっせい」、近著に『教育の使命と実態 データから見た教育社会学試論』(武蔵野大学出版会)。]
舞田敏彦(武蔵野大学講師)
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