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法王訪問中のアフリカ貧困地域にテロ予備軍4100万人

ニューズウィーク日本版 / 2015年11月27日 13時40分

 アフリカ歴訪中のローマ法王(教皇)フランシスコは、ケニアで宗教指導者と会談し、若者が過激主義に走り「野蛮な攻撃」を行っていると非難した。近年ケニアでは、武装グループによるテロ攻撃が頻発している。

 法王のアフリカ歴訪は今回が初めてで、ケニアの他、ウガンダと中央アフリカ共和国も訪問する予定になっている。

 ケニアの首都ナイロビで、地元のイスラム教、キリスト教などの宗教指導者と会談した法王は、武装闘争の思想を宗教で正当化しようとするテログループを非難した。「憎しみと暴力を正当化するために神の名を使うことは許されない」と語った。

 最近ケニアは、イスラム原理主義を掲げる隣国ソマリアの過激派組織アルシャバブから度重なるテロ攻撃を受けている。アルカイダとも繋がりがあるアルシャバブは、ソマリアでの同グループの反乱を鎮圧するアフリカ連合の活動にケニアが参加したことから、ケニアでのテロ活動を開始した。今年4月に、ケニア東部のガリッサ大学に過激派が侵入し、学生ら約150人が殺害された事件でも、アルシャバブが犯行声明を出している。

識字率36%、サヘル地域の暗闇

 法王がこの後訪問する中央アフリカ共和国でも、イスラム教系とキリスト教系の武装勢力が活動を活発化させている。昨年9月以降、首都バンギでは、両派の散発的な衝突で90人近い死者が出ている。さらに国連機関によると、現在47万人の難民が近隣諸国に逃れている。

 ケニアの会談で法王は、若者がしばしば「宗教の名の下に過激化し、対立と恐怖の種を撒き、社会の根幹をズタズタに引き裂く」と語った。これに同意したケニア・イスラム最高評議会のアブドゥルガフール・エルブサイディ議長は、「世界は無謀な戦争に覆われている。イスラムはますます蛮行の根源と見られている」と語った。

 さらに法王は、貧困が人々を暴力と過激派活動に追い込んでいる、とも指摘した。ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領と会談した法王は、「経験則として、貧困と失望が恐怖と不信、絶望を生み、それが暴力と衝突、テロの温床となる」と語った。

 アフリカでは、サハラ砂漠の南側に広がるサヘル地域に、最も貧しい国々が連なり、4100万人の若者が過激派に加わるリスクにあると言われている。国連事務総長サヘル地域特使のイルーテ・ゲブレ・セラシは国連安全保障理事会に対して、サヘル地域の若者が「絶望に直面」し「大規模な移住や、テロ集団や個人の活動への勧誘、訓練の温床」となる危機にあると訴えた。

 アフリカ大陸を横断するサヘル地域には、ブルキナファソ、チャド、モーリタニア、ニジェール、マリなどの国々が含まれる。先週末、マリの首都ババコで高級ホテルが襲撃されて外国人客ら約20人が殺害された事件では、アルカイダ系のテロ組織が犯行声明を出している。

 セラシ特使によると、サヘル地域の児童の44%が小学校に通っておらず、識字率は36%にとどまっているという。


コナー・ギャフィー

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