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世界一「チャレンジしない」日本の20代

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月1日 17時0分

 企業の人事担当者に「どういう学生が欲しいか」と尋ねれば、「自分で考え積極的に新しいことを提案できる人」、「失敗を恐れずチャンレンジ精神が旺盛な人」という答えが返ってくるはずだ。紋切り型と言えばそうだろうが、いつの時代でも企業はこういう若者を求めている。

 では実際の若者は、こうしたクリエーティブな資質やチャレンジ精神をどれだけ持っているのだろうか。2010~14年に各国の研究者が実施した『世界価値観調査』では、「新しいアイディアを思いつき、クリエーティブであることを大切にしている」と「冒険してリスクを冒すこと、刺激のある生活を大切にしている」という項目について、自分が当てはまるかどうかを聞いている。<図1>は、日本とアメリカの20代の回答をグラフにしたものだ。



 クリエーティブ志向の肯定率(黄色枠)は、日本が50.9%、アメリカが73.9%となっている。冒険志向はもっと差が大きく、両国では倍以上の開きがある(日本23.1%、アメリカ55.8%)。あくまで自己評定の結果ではあるが、日本はアメリカに比べて若者のクリエーティブ志向や冒険志向が低い。世間でよく言われることと合致している。

 これはアメリカとの比較だが、もっと多くの国を含めた世界全体での日本の位置付けを見てみよう。<図2>は、右軸にクリエーティブ志向、縦軸に冒険志向の肯定率をとった座標上に、59の国を配置したグラフだ(英仏は調査に回答せず)。



 日本は最も左下にある。若者のクリエーティブ志向・冒険志向は世界で最低だ。諸外国の群れから大きく外れ、その低さは際立っている。

 先程比較したアメリカはちょうど真ん中くらいで、それを上回る社会も結構ある。ナイジェリア、ガーナ、南アフリカ、フィリピンなどの発展途上国だ。こうした社会では、若者のクリエーティブ志向や冒険志向が強くなるのだろうか。

 お隣の韓国は日本と近い位置にあると思いきや、そうではない。この国では、冒険志向の若者の比率が高い。日本以上の超学歴社会で、一流企業に入るには英語力や海外留学経験が必須だと言われている。国内の就職が厳しいので、活躍の場を国外に求める若者も多い。韓国の若者の冒険志向(外向き志向)が反映されている。

 これに比べて日本の若者は、すっかり委縮している。社会的な統制が強いはずの旧共産圏以上だ。上の図を経団連の幹部が目にしたら、複雑な思いを禁じ得ないだろう。もっと学生の創造力やチャレンジ精神を鍛えて欲しいと大学に要請してくるかもしれない。

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