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忘れられたクリミア半島で迫害され、抵抗するタタール人

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月2日 17時0分

 ウクライナ南部のクリミア半島では11月下旬から停電が続いており、ウクライナ本土と半島とをつなぐ道路ではタタール人の活動家らがバリケードを築いている。その活動家の1人がこう息巻く。「次は海だ」

 タタール人はクリミア半島の先住少数民族だが、半島は2014年3月、ロシアに一方的に併合された。イスラム教徒のタタール人はただでさえ差別されているのに、ロシアが来て以来ますます抑圧がひどくなったと、抵抗を続けてきた。道路の封鎖は9月から続けている。

 活動家のリーダー格の1人、レヌール・イスリヤモフによれば、彼らは近いうちにクリミアの海上ルートの妨害工作に着手するという。

 彼はロシアの野党勢力オープン・ロシアに語った。「最初は物流を止めた。次はエネルギーを止めた」

 イスリヤモフの言う「エネルギー停止」とは、クリミア半島の停電を指す。先月下旬、ウクライナ領内の送電施設が何者かに爆破され、半島のほぼ全域への電力供給が止まったままになっている。タタール人活動家らは現場付近にピケを張り、その修復を妨害しているのだ。

「次は海上だ」と、イスリヤモフは言う。オープン・ロシアによれば、ロシアとクリミア半島とをつなぐケルチ湾フェリーの妨害を指しているようだ。2018年までにはロシアとクリミア半島に橋を架ける計画もある。

宗教的文学が突然、過激思想に

 一連の妨害活動の目的は、タタール人に対する差別的な処遇に世間の注目を集めることだとイスリヤモフは言う。一部で言われるような、ウクライナやロシアに対するテロなど考えたこともないという。

 タタール人はクリミア半島の人口の約13%を占め、その文化は半島固有のものとして何世紀にもわたる歴史を持つ。人権擁護団体のアムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは共に、ロシアの実質的な支配下にあるクリミア半島で、タタール人への迫害が増していると警告してきた。

 タタール人の家庭や礼拝所が急襲されたり、以前は「問題ない」とされていた宗教的文学作品が「過激思想だ」として禁止されたりしている。

 タタール系のメディアにも影響は及んでいる。ロシア当局は今年3月、1社を除くすべてのタタール系テレビ局の認可を取り消した。

ダミアン・シャルコフ

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