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【統計】銃犯罪の多さは銃規制の緩さと比例するか

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月3日 17時25分

 銃による暴力防止法律センターのウェブサイトでは、各州の銃規制法を紹介しており、アリゾナ州の場合は、州の認可がなくても銃を販売できることや、1度に購入できる銃の数に制限がないことが説明されている。さらに、ライセンスを所持していなくても公共の場で銃を隠し持ったり、攻撃用ライフルや50口径ライフル、大型弾倉を購入・譲渡したりできるという。

 ところで、銃規制を厳しくすれば、銃による犠牲者が本当に減るのだろうか。オバマは記者会見で次のように主張した。「ご承知の通り、銃規制が厳しい州では銃による死亡者が少ない。銃規制には効果がないとか、法を順守する人々が銃を手に入れにくくなるだけで、犯罪者はそれでも銃を手に入れるといった考えには根拠がない」

 InsideGovでは、米疾病対策センター(CDC)のデータをもとに、10万人あたりの銃による死亡者数を州別に地図で表してみた。



 10万人あたりの銃による死亡者数が最も多かったワースト5は、アラスカ州(19.6人)、ルイジアナ州(19.2人)、アラバマ州(17.8人)、ミシシッピ州(17.6人)、ワイオミング州(17.5人)だった。そのうちアラスカ、ミシシッピ、ワイオミングの3州は、銃規制が最も緩い州に挙げられる。

 一方、10万人あたりの銃による死亡者数が最も少ないベスト5は、ハワイ州(2.7人)、マサチューセッツ州(3.2人)、ニューヨーク州(4.4人)、コネチカット州(4.5人)、ロードアイランド州(5.3人)だった。そのうちニューヨーク州とコネチカット州は、銃規制の評価で上位に入っていた。

 この2つのデータを1つのグラフにまとめると、あるパターンが浮かび上がってくる。そしてそのパターンは、銃規制の厳しい州では銃による死亡者が少ないという、オバマ大統領の主張を裏付けているように思える。



 上のグラフでは、縦軸は10万人あたりの銃による死亡者を示しており、上に行けば行くほど銃で命を落とす人が多いことを意味する。横軸は銃規制の厳しさを示しており、右に行けば行くほど、銃規制が厳しいことを意味する。つまり、上のグラフはおおむね、銃規制の厳しい州では銃による死亡者が少ないことを表しているのだ。

 とはいえ、こうした総合的な傾向と矛盾する事実もある。カリフォルニア州は、銃規制に関する評価で89点と最高点をマークしている。また、10万人あたりの銃による死亡者数は7.9人で、全体で8番目に少ない数だ。ところが、ロサンゼルス・タイムズ紙によるアメリカ史上最悪の銃乱射事件リストを見ると、発生件数が最も多いのはカリフォルニア州なのだ。同州では1984年以降、9件の銃乱射事件が起きている(2015年10月時点)。

 カリフォルニアは面積ならびに人口が全米トップの州とはいえ、銃乱射事件の発生総数は他州と比べ群を抜いている。例えば、フロリダ州は人口がカリフォルニア州の約半分だが、銃乱射事件は過去34年間で1件しか起きていない。

 全般的に見れば、銃規制が厳しければ銃による死亡者も少なくなることをデータは示唆している。ただし、カリフォルニア州での銃乱射事件の発生件数は、留意すべき異例の事態だ。この数字は、何よりも、アメリカにとって銃問題がいかに複雑であるかということと、適切な銃規制についての合意形成がなぜこれほどまでに困難であるかということを表しているのかもしれない。

[原文は2015年10月7日執筆]







パルマー・ギブス


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