復活した『スター・ウォーズ』はファンの夢をかなえられるか
ニューズウィーク日本版 / 2015年12月17日 11時43分
「遠い昔、はるかかなたの銀河系で......」
おなじみのプロローグで始まるハリウッドのSF超大作『スター・ウォーズ』の最新作が今年12月、全世界同時公開される。10年ぶりの新作とあって、早くも世界中でファンの期待が高まる一方だ。
『スター・ウォーズ』シリーズ第1作が公開されたのは、今から38年前の77年のこと。それまでのSF映画とは明らかに違うスピード感とスケールの大きさ、さらに最先端の特殊撮影技術は世界を驚かせた。続く『帝国の逆襲』(80年)、『ジェダイの帰還』(83年)でも、その勢いが失われることはなく、製作総指揮のジョージ・ルーカスが作り出す壮大なサーガ(物語)に映画ファンは酔いしれた。
『ジェダイの帰還』から16年後の99年、満を持して公開されたのがシリーズ第4作『エピソード1/ファントム・メナス』だ。1億ドルを超す製作費、最先端のデジタル映像技術、豪華キャスト......ルーカスが再び見せてくれるはずの「夢」にメディアの報道は過熱する一方だった。
そんななか、ニューズウィークは99年5月17日号の特集「スター・ウォーズの逆襲」で熱狂に一石を投じる。
リーアム・ニーソンやユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマンなど豪華キャストで、映像の95%にCGを駆使した『エピソード1』は誰もが期待する大作。それをニューズウィークは「期待外れ。おまけに『大変な』という修飾語を付け加えてもいい」と、一刀両断にした。
辛口で鳴るニューズウィークの映画評が特に『エピソード1』を酷評したのは、第1作以来22年ぶりに監督を務めたルーカスがあまりにデジタル技術に頼り過ぎたからだ。この映画でルーカスは演技の手直しにもデジタル技術を使い、例えば6回目の撮影で撮った俳優の顔に、3回目の撮影の映像を合成した。
「『エピソード1』は、バーチャル俳優が生身の役者に取って代わる映画の未来を先取りした作品といえそうだ」と、映画担当のデービッド・アンセンは書く。「だが同時に、ルーカスは生身の俳優から生気を奪っているようにもみえる」
特集は返す刀で、作品のイメージと関連商品のライセンス収入を守るため、ルーカスが過剰なまでにメディア管理をしていることも批判。ルーカス側がニューヨーク・タイムズ紙のインタビュー記事に要求を突き付け、そういった条件を受け入れなかったニューズウィークへの協力を拒んだことを明らかにした。
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