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過激派襲撃からキリスト教徒を守ったムスリムの勇気

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月22日 17時2分

 昨日、ケニアでイスラム過激派がバスを襲撃した際、イスラム教徒の乗客がキリスト教徒の乗客をかばっていたことがわかった。

 ソマリアのイスラム過激派「アルシャバブ」の武装グループは、ケニアのマンデラ郡でバスに発砲して停車させると、バスに乗り込んで乗客をイスラム教徒とキリスト教徒に分け、キリスト教徒の乗客を殺害しようとしたと、BBCは報じている。

「私たちは、イスラム教徒ではない乗客の何人かに、イスラム教徒の衣服を与えて、見分けがつきにくくした。そしてしっかりと体を寄せ合った」と乗客の1人だったイスラム教徒のアブディ・モハマド・アブディはロイター通信に語った。「最後は武装グループも諦め、また戻ってくるぞと悪態を付きながら降りていった」

 マンデラ郡知事のアリ・ロバは、ケニアのデイリー・ネーション紙の取材で、この証言が正しいことを認めている。「乗客はイスラム教徒ではない人たちから離れるのを拒否し、皆殺しにするか、さもなくば立ち去れと武装グループに迫った」という。同紙によると、バスには62人の乗客が乗っていた。

犠牲者の宗教は当局明かさず

 それでも武装グループがバスに発砲した際に銃弾を受けた乗客など2人が殺害され、3人が負傷した。

 アルシャバブは広報担当者を通じて、キリスト教を信仰する敵の一部の殺害に成功したとロイター通信に語り、ほかの乗客たちもケガを負ったと豪語した。当局は犠牲者がキリスト教徒かイスラム教徒かを明らかにしていない。イスラム教徒の乗客たちがキリスト教徒の乗客たちを守ったことについてムサブに質問したところ、返事はなかった。

 アルシャバブは過去にも、同様の手口でキリスト教徒を襲ったことがある。4月にケニアのガリッサ郡で起きた「ガリッサ大学襲撃事件」では148人を殺害したが、学生に発砲する前に、信仰する宗教を尋ねたという。BBCによれば、被害者の多くはキリスト教徒だった。

 2014年12月には、イスラム教徒ではないバスの乗客28人を殺害している。そのほとんどは、ケニアの首都ナイロビに向かう教師たちだった。

 67人が犠牲になった2013年のナイロビの「ショッピングモール襲撃事件」は、アルシャバブの名を世界に知らしめた。

 国家テロ対策センター(NCTC)によると、アルシャバブは「ソマリア政府との国家主義的闘争に関心を抱いており、世界的なジハードは支持していない」という。もっとも最近は、ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)に転向する幹部や戦闘員も増えているという。


ポリー・モセンズ

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