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自動運転車でグーグルと手を組むフォードの心中は?

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月28日 15時0分

 ただ、WIRED記事によると、フォードは自動運転車に関し、グーグルと同様にドライバー(人間)の存在を抜きにしたアプローチを指向しているという。このあたりは人間の不足点を補うものとして自動運転機能を位置付けているメルセデスやアウディ、GM、テスラなどとは大きな違いと思われ、この考え方の一致が両社の合意を容易にしたとの可能性も考えられる。

気になる「上手まわしの取り合い」

 さて。上記のWIRED記事には、「フォードが喜んでグーグルの単なる下請けに甘んじるとは考えられない」という指摘がある。それに対して、上記のThe Verge記事には「自動車のビジネスは利益率の高いビジネスではない。いっぽう電子関連のビジネスはとても高い利益率が得られるビジネス」「グーグルやアップルは、工場の操業やロジスティクス=サプライチェーンの運営、それにお役所の規制が絡むような面倒なことには関わりたくない」といったアナリストの見方がある。

 Android端末メーカーがiPhone対策など合理的な判断に基づいてグーグルのモバイルOSを採り入れたことで、結果的に厳しい競争に追い込まれたことは周知の通りだ。また最近ではあまり聞かれなくなったが、ひと頃は欧州の携帯通信事業者の間からグーグルやアップル、フェイスブックなど、スマートフォンの普及で大きな利益を手にした米国勢に対する「ただ乗り批判」の声もよく聞かれた。そうした前例も考えあわせると、フォードがグーグルを相手に、どういう組み方をするのか、あるいはどうやって上手まわしをとられないようにするか、といった点にやはり関心が向いてしまう。

 そのあたりのカギを握る人間のひとりが、現在グーグルの社外取締役として同社のやり方を知る元フォードCEOのアラン・ムラーリー(以前、マイクロソフトの後継CEO探しの際にも一時有力視されていた人物)ではないかという気もしているが、この点について推測する手がかりはいまのところ見つからない。


[執筆者]
三国大洋
オンラインニュース編集者。海外ニュース・ウォッチャー歴25年。情報雑食系、主食は「ITとビジネス」系。NBAマニア(観るだけ)。

三国大洋(オンラインニュース編集者)


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