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教職員や卒業生の子供が「合格しやすい」のは本当?

ニューズウィーク日本版 / 2015年12月28日 15時25分

 そのために、ビジネスの世界でサクセスしそうな「潜在能力」が重視されます。そこには、学力も入ってくるし、コミュニケーション能力やリーダーシップの経験といったものも入ってくるでしょう。

 ですが、大学が重視している「潜在能力」というのは、そうした漠然とした人物像だけではありません。もっと具体的な問題として「自己管理能力」があります。この「自己管理能力」ですが、宿題の締め切りに遅れないとか、大学の願書締め切りに願書一式を間に合わせるというような「締め切り厳守」ということが一つあります。ですが、それだけではありません。

 もっと大きな概念として、「同時並行的に多くのプロジェクトを進行させ、それぞれについて期日までに成果を出す」という能力、つまり「マルチタスク処理能力」とでも言うものを、大学は非常に重視していると考えられます。

 どうして成績とテストの点数だけでなく、スポーツや課外活動の成果を求めるのかというのも、実はこの点に理由があります。

 例えば、進学実績の高い学区の公立高校に通っている高校4年生で、名門大学に出願すべく「目一杯のスケジュールを入れている」ような場合、11月の大学出願時点で「同時進行的に何をやっているのか」を列挙してみましょう。

1.高校では主要な科目は3年生までに修了しているものの、依然として「多変数微積分」「AP 統計学」「AP アメリカ政治」など宿題の多い科目を履修、テストの直前には相当に勉強しなくてはならない。

2.選択科目として「オーケストラ」を取ってチェロを弾き、学校に三つあるうちの最高ランクである代表オーケストラのトップを務める。同時に学校のオーケストラの世話役として、活動資金集めのボランティア、コンサートの企画も担当。

3.そのチェロの腕前が落ちないように、週1回専門家の指導を受けている。

4.学校外の州南部高校生の代表オーケストラの楽員にもなっていて、コンサートへ向けて定期的な練習に参加している。

5.スポーツは運動部のサッカーに入っていて、学校の代表選手。練習は月曜から金曜の放課後に2時間、土曜の午前中にも3時間。秋はシーズンなので、2カ月半のシーズン中に約10回の遠征試合と、5回のトーナメント戦があり、アウェーの場合の帰宅は午後8時から9時。

6.その他に、週末には語学学校通い、もしくは定期的に病院やEMS(救急隊)でボランティア。

 という感じでしょうか。

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