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「団塊、団塊ジュニア、ゆとり」 3世代それぞれの人生の軌跡

ニューズウィーク日本版 / 2016年1月5日 15時20分

 その団塊世代の子どもたちにあたるのが1972年生まれの団塊ジュニア世代。高度経済成長が終わった後に生まれた、生まれながらの「消費者」だ。幼少期からテレビを見て育ち、テレビゲーム(ファミコン)に興じた。荒れる学校や戦後の非行ピークを担ったのは少し上の世代だが、中学生の時にいじめが社会問題化した、いじめ第一世代だ。

 同世代の人口が多いため、激しい受験競争も経験した。この世代が18歳だった1990年の大学入試では、受験者の45%が不合格になっていたとみられる(「大学入試9割は合格の時代」『日経デュアル』)。それだけに、競争のメンタリティが強く刻印された世代でもある。

 成人期はバブル崩壊と共に始まり、就職・結婚・出産といったイベントが、不況の深刻化した時期と重なっている。こうした人生のイベントを乗り越えた人もいれば、そうでない人もいる。その格差が拡大したのがこの世代だ。親世代(団塊世代)との軋轢を抱えている人も少なくない。

 最後の1995年生まれの世代には、いろいろなネーミングがある。ゆとり学習指導要領(2002年施行)で育った「ゆとり世代」、不況期で育ったことから欲を持たない「さとり世代」など。しかし最大の特徴は、幼少期からITに慣れ親しんだ「デジタル・ネイティブ世代」であること。ネットでコミュニケーションをする世代で、スマホを四六時中眺めている。その一方、固定電話でのやり取りの作法を知らぬ人もいて、上の世代を驚かせる。

 この世代は現在20歳で、これから社会に参入してくる層だ。ITを駆使した、新たな働き方を提案してくれるだろう。就労の世界だけでなく、家族や世帯の形態を変えてくれるかもしれない(事実婚、同性婚、シェアハウスの広がりなど)。この世代の力をどれだけ引き出せるかに、今後の日本の命運はかかっている。

 以上、3世代の生きた軌跡を見てみたが、もし全世代が一緒に集まったら、おそらく軋轢は避けられない。しかし、それでは社会は成り立たない。それぞれの世代は、考え方や価値観を異にしながらも、共に日本社会を支える存在なのだ。

 今年2016年が、世代間の理解が深まる年になることを願いたい。


≪著者の記事一覧はこちら≫

舞田敏彦(武蔵野大学講師)


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