悩める共和党の見えない自画像
ニューズウィーク日本版 / 2016年1月8日 16時51分
何が駄目だったのか――12年の米大統領選で惨敗を喫した共和党は、その答えを探した。民主党候補のオバマ大統領が、共和党候補に大差をつけて再選を決めた理由は? 次期大統領選で共和党が勝利する方策は?
党の長老たちの依頼で作成された報告書(敗北を分析する内容から「検死解剖」とあだ名された)は、遠慮のない批判を展開した。いわく、共和党は「恐怖感を与える」「偏狭」で「時代遅れ」な「頭が固い高齢男性」の政党になっている、と。
共和党が復活するためには、女性や若者、少数派の支持を獲得することが不可欠だと、報告書は指摘した。彼らこそ、新たに台頭した有権者層であり、08年大統領選でオバマに予想外の勝利をもたらし、12年の再選を支えた人々だからだ。
だが報告書に意味はなかった。4年近くたった今、大統領選の本格的な幕開けとなるアイオワ州党員集会を2月1日に控えるなか、共和党は自ら描いたあるべき将来像を忘れ去り、正反対の方向へ突き進んでいるらしい。
共和党候補を目指す者たちの一部は、移民を犯罪者呼ばわりし、対メキシコ国境に壁を建設せよと訴える。さらに、イスラム教徒などの少数派に対する差別的な政策を信奉し、難民に「宗教テスト」を行えという憲法に反する主張をしている。共和党がまさに獲得すべき有権者層、なかでも急拡大するヒスパニック層の離反を願っているかのような態度だ。
11月の大統領選までに、確実に起こると言えることが2つある。
まず、民主党候補はヒラリー・クリントン前国務長官に決定する。よほど意外な展開がない限り、何者もクリントンの候補指名を阻めないはずだ。
一方、主流派と反主流派が激突する共和党では、その戦いに生き残れた人物が大統領選候補になる。ただ、両派は互いを攻撃し合い党が徹底的に分裂するかもしれない。そうなれば、本選でクリントンに勝つ見込みはゼロになると党指導部は憂慮する。
この懸念は正しい。事実、共和党の有力候補者らの言動は既に党の評判を大きく傷つけている。
そもそも、支持率トップの候補者の追い落としを画策する時点で問題がある。指導部や寄付者など、共和党内の多くの人々は今や大っぴらに、不動産王ドナルド・トランプをいかに選挙戦から追い出すか、論じ合っている。トランプが共和党有権者の間で、支持率首位を維持しているにもかかわらずだ。
15年12月には、共和党幹部が秘密会合を開催。予備選で候補者が決定せず、7月の共和党全国大会での投票にもつれ込んだ場合、トランプが指名獲得に必要な投票数を手にする事態を防ぐ方法について話し合った。
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