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PKO部隊、避難民の少女を50セントで買春

ニューズウィーク日本版 / 2016年1月14日 14時39分

 中央アフリカ共和国に駐留する国連の平和維持活動(PKO)部隊の兵士が地元の女性や少女に性的搾取・虐待を行っているという告発が相次いでいる。今年に入り、国連は新たな告発について調査を進めていると発表。そのわずか1週間後の12日には、PKO要員の一部が50セントを支払って少女たちと性行為を行っていると、ワシントン・ポストが伝えた。なかには13歳の少女もいるという。

 複数の国連スタッフの話によると、買春を行っているのはガボン、モロッコ、ブルンジ、フランス軍から派遣された兵士たち。首都バンギの国際空港近くにある国内避難民のキャンプ・ムポコで、「少年や若い男たち」が売春斡旋組織を運営、50セントから3ドルの料金をとって、客に少女たちを提供していると、スタッフの1人は語っている。

 約2万人の国内難民が暮らすムポコ・キャンプ内には国連職員が常駐していない。そのため実態の把握は難しく、PKO要員による性的搾取・虐待がはるかに高い確率で起きている可能性もある。

「体制に潜む癌」

 中央アフリカは人口460万人。キリスト教徒が半数を占める。2013年にイスラム教徒主導の反政府勢力セレカが首都を制圧。以後、全土に混乱が広がり、セレカとキリスト教徒主体の民兵組織・反バラカとの武力衝突が続いている。昨年末、大統領選挙が実施され、安定化に道が開かれると期待されたが、多くの候補者が選挙で不正が行われたと主張、今年に入り票の集計作業の中止を求めている。

 昨年12月、人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(本部ニューヨーク)がムポコ・キャンプ内と周辺で9件の性的虐待があったと報告。暫定政権と国連のPKO部隊に「女性と少女たちを守るため改善策を実施し、加害者の刑事責任を問う」よう求めた。

「難民キャンプに構造的な問題があるようだ」と、国連のPKOスタッフは本誌に語った。「問題は誰に監督責任があるかではない。PKO要員ら駐留中の外国人はどこに行けば買春できるか知っている。売春市場ができているんだ。それが問題だ」

 国連のPKO部隊「中央アフリカ多面的統合安定化ミッション」(MINUSCA)は今年に入り、バンギに駐留するPKO要員ら外国人による性的搾取・虐待などの違法行為に対する新たな申し立てを受けて、調査を進めていると発表した。ユニセフ(国連児童基金)のスタッフがバンギで性的虐待を受けたという子供4人と面会。MINUSCAによると、国連の中央アフリカ駐留のPKO要員に対する告発はこれまでに26件にのぼっている。

 MINUSCAは「被害者支援のためユニセフと共同で人権問題と児童保護専門の人員から成る保護チームを設置し、ムポコ・キャンプに派遣した」と、前出のPKOスタッフは本誌に明かした。「このチームがキャンプで人々の話を聞くうちに、ほかにも多数の申し立てがあり、本格的な調査を行うことになった」

 MINUSCAは「違法行為の告発については1件も漏らさず」調査を行うと宣言。危険地域では、兵士と文民スタッフが合同でパトロールを行うという。潘基文(バン・キムン)国連事務総長は昨年8月、国連のPKO要員による性的虐待の告発が相次いでいる問題に対し、「われわれのシステムに潜む癌」だと遺憾の意を表した。


ルーシー・ウェストコット

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