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衝撃の話題作『サウルの息子』のネメシュ・ラースロー監督に聞く

ニューズウィーク日本版 / 2016年1月25日 16時45分

――この映画が独特なのは、カメラがひたすらサウルの表情を追い掛けるところだ。脚本の段階から考えていた?

 あのカメラワークを大前提に脚本を書いた。狙いは単純で、恐怖をどれだけ肌で感じることができるか、どれだけリアルに伝えることができるかだ。


 第三者が見たものではなく、観客が当事者になってその場にいるような雰囲気を出すことがいちばんの目的だった。つまり客観的ではなく、主観的に見せていきたかった。そうすることで観客は感情を投影し、頭の中でより鮮明にリアルに出来事を感じていく。

――「サウル」という名前は、旧約聖書に出てくるイスラエル王国の最初の王から取ったのか。

 ハンガリー語では「シャウル」だが、確かにサウルは旧約聖書に出てくる。でも最初はそこまで意識していなくて、単純に音がいいと思って選んだ。後になって、シャウルという名前には「神が与えしもの」という意味があると知り、すごくいい名前を使えたなと思っている。

――最後のサウルのしぐさに少しほっとする。ホロコーストで亡くなったすべての人に平穏を、というメッセージのように思えたが。
 
 どういう意味なのかは、見た人それぞれに考えてもらえればいい。あなたがそう捉えたのなら、そういう意図だったのかもしれない。極限状態で、地獄のような世界でも、ずっと笑っていなかった人でも、あのようなことをするというのを何となく入れてみたかっただけ。その意味を説くことはしたくないし、明確に理由を付けることもできない。



大橋 希(本誌記者)


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