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「クリエイティブ51、ビジネス49」をバランスさせる経営

ニューズウィーク日本版 / 2016年1月28日 11時12分

 ビジネスというのは要するにお金をもうけることですね。そのためにマネジメントがちゃんと機能しなければならない。クリエイティブだけで暴走してしまうとおかしくなるけれども、でもクリエイティブがちょっと勝っている、それくらいがちょうどいいと思います。

 ビジネスと管理が強くなると、過去の成功事例をなぞるだけになってしまうんですよ。これはお金がもうかって、しかもトラブルも起きなかったということだけに終始してしまう。例えばクリエイティブが49になるとしますね。49になったクリエイティブってどんどん減っていくんですよ。30になり、20になり、10になってしまう。だってそのほうが管理する側から見たら正しいし楽ですからね。でも、それは組織として冒険や挑戦のない状態であり、事業は衰退していくはずです。

守りに入ったらミスは起こらない

 だから、クリエイティブが51でビジネスが49で、拮抗させながら頑張るんですよ。たまに問題は起こるんですが、そのぐらいがちょうどいい。

 実をいうと、このところ僕が取引先におわびすることが何回か続きましてですね。気持ち的にはへこむけど、僕がおわびするようなことがなくなったら、たぶん会社はだめになるんだろうなとも思うんです。

 だって、誰もやっていない新しいことに挑戦したがゆえの失敗ですからね。社員はみんな一生懸命やっているんだけれども、初めてのことだからアクシデントを避けられなかった。もちろんミスを正当化するわけじゃないし、ミスはそもそもないほうがいいんだけど、守りに入ったらこういうことが起こらないですからね。

 ご迷惑をかけた方々には本当に申し訳ないと思うし、うちの社員にも厳重に注意はしますけど、頑張れと思うんですよ、やっぱり。

トップマネジメントが備えるべき"おわび機能"

 何か事が起きたときに問われるのは、クリエイティブに携わる人とビジネスを見ている人の信頼関係です。だから両者のコミュニケーションは大事なんです。コミュニケーションの中で相互の信頼関係が確かなものになる。もっといえば、両者は相互依存関係にあるんですよ。ドワンゴという会社がなければできないことが増えてきて、クリエイティブがいなくなっても、マネジメントがいなくなっても事業が続けられない、そういう会社の規模になってきました。

 ドワンゴという会社が実現していること、提供している場をみんなで守ろうぜと、僕も役員も思っています。そんなふうにみんなが思ってくれれば、それがすなわち会社に対するロイヤリティーだと思う。僕らお偉方の言うことを聞くことはロイヤリティーでもなんでもなくて、いま自分たちが実現している価値に対するロイヤリティーを持ってくれればそれで十分なんです。

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