ISISの「人間の盾」としてトルコのロシア人が標的に?
ニューズウィーク日本版 / 2016年1月29日 17時49分
今週ロシアの連邦観光局(ロスツリズム)は、トルコに向かう予定のロシア国民に対して、トルコでISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)のテロの標的にされる可能性があると警告した。
トルコとロシアの両国は、昨年11月にトルコ軍機がシリア上空でロシア空軍の戦闘爆撃機を撃墜して以降、外交的な緊張関係にある。トルコ側はロシア機がトルコ空域に侵入したと主張しているが、ロシア側はトルコがISISとの違法な原油取引を隠蔽するために攻撃したと主張している。
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ロスツリズムは今週、「関係当局からの情報」として、ISIS幹部が「トルコに滞在するロシア人を人質として拉致する計画」を企てていると警告を出した。
公開処刑の対象か
「関係当局の情報によると、ISISは拉致した人質を自分たちの支配地域に連行し、公開処刑の対象にしたり、シリア政府や反政府勢力との戦闘の際の『人間の盾』として使う可能性がある」という。
トルコに滞在中のロシア人観光客は、身の安全のために厳重な注意をするよう呼び掛けた。
ロシア機の撃墜以降、ロシアはトルコ国内でのISISの活動を警戒している。トルコ産品の輸入制限などの経済制裁に加えて、トルコへの観光用チャーター便の運航停止も打ち出した。
昨年12月のロシアメディアの調査では、ロシア人はウクライナやアメリカ、ISISよりもロシアを「最大の敵」とみなしていることが明らかになった。
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ロシア人観光客は、エジプトでもISISの攻撃対象になったばかりだ。昨年10月、エジプト・シナイ半島のリゾート地シャルムエルシェイクからロシアのサンクトペテルブルグに向かっていたロシアのチャーター機がISISの仕掛けた爆弾で爆破され、乗員乗客224人全員が死亡するテロが起きた。犠牲者の大半はロシア国民で、事件後ISISは、ロシアのシリア空爆に対する報復措置だという犯行声明を出している。
テロの標的になっているのはトルコも同じだ。今月12日には、イスタンブールの中心部スルタンアフメット広場で、ISISメンバーによるものとみられる自爆テロが発生して10人が死亡した。トルコの日刊紙の報道によると、事件後にISISと関係があるとして逮捕された容疑者の中には、ロシア国籍の人物も含まれていた。
ダミアン・シャルコフ
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