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原油安は一時的パニックか、需要減による危機的事態か

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月16日 16時0分

【参考記事】米国産原油・輸出解禁の価格インパクト

 問題は中国経済の今後の見通しだ。00年から14年まで中国の需要増が世界の原油需要の伸びの50%近くを占めてきた。成長を引っ張ってきた巨大な牽引車が失速したら、1バレル=100ドル時代の再来は望めない。

 いま市場で盛んにささやかれているのは、サウジアラビアとロシアが協調して減産に踏み切る可能性だ。サウジアラビアが減産を提案したとも伝えられているが、ロシアとOPECの協調減産が実現する公算は小さい。サウジアラビアとロシアはこれまで減産による価格調整よりも、シェールオイルに対抗して市場シェアを死守することを優先してきたからだ。

 サウジアラビアは外貨準備が6500億ドル余りあるなど、まだ余裕がある。片やロシアの苦境ははるかに深刻で、昨年に続き、今年もマイナス成長からの脱出は望み薄だ。

 ロシアとサウジアラビアが最も恐れるのは協調減産に踏み切っても、価格が上がらない事態だ。エクソンモービルは先月、中国の原油需要予測を下方修正したばかり。減産のニュースで一時的に価格が跳ね上がっても、その後再び下落に転じる可能性は大いにある。

【参考記事】2016年の世界経済のカギを握るのはやはり原油価格

 長期的に見て、原油が世界経済を支える重要なエネルギー資源であることは間違いない。世界中の人々の生活と生産活動を支えている点で、今のところ原油に代わる資源はない。原油価格を需給の均衡が取れた適正値に落ち着かせること。それが16年の最も重要な課題の1つになるだろう。

[2016.2.16号掲載]
アフシン・モラビ(本誌コラムニスト)


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