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ある女性の人生を変えた、ビル・ゲイツがソファに座った写真

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月17日 11時45分

 時間を一気に早送りして二〇一五年現在、アンは、パロアルトでフラッドゲート・ファンドのパートナーを務めています。スタンフォード大学で工学博士号を取得した後、二〇一〇年にマイク・メイプルズと共同で設立したファンドです。世界的に影響力のある初期段階のスタートアップ企業にアドバイスし、シリコンバレーでも特に影響力のあるリーダーとして評判です。

 アンの物語が示しているように、たいていの人は自分が生きている舞台に疑問をもちませんし、自分の影響力が広がることが心地いいとも感じません。ですが、そうした見方は、ほんの一瞬で変わることがあります。何気ない会話や一冊の本、一本の映画、あるいはたった一枚の写真が、自分の未来像をがらりと変えてしまうことがありえるのです。

◇ ◇ ◇

 一方、シーリグは本書で、「叶えたい目標をイメージするだけでは不十分であること」も示している。将来をイメージするだけだと、それに注ぎ込むエネルギーが低下することが実験から明らかになっているという。要するに、目標にたどり着くまでに克服すべき障害についてもイメージしておく必要があるのだ。

 大切なのは、チャンスの幅を狭めてしまうような小さなビジョンではなく、大きなビジョンを描くこと。そして、それを達成するための道筋を現実的に考えておくこと。

 そのためのフレームワークが、シーリグが本書で提示する「インベンション・サイクル」だ。想像力がクリエイティビティを生み、クリエイティビティがイノベーションにつながり、イノベーションが起業家精神を呼び起こす。そして、起業家精神が新たな想像力を刺激し......というサイクルである。

 シーリグによれば、思い描く未来にたどり着くために必要なことは3つある。第一が起業家的な心構えで、それは日本だけで32万部という世界的ベストセラーの著書『20歳のときに知っておきたかったこと』(高遠裕子訳、三ツ松新解説、CCCメディアハウス)にまとめたという。第二は、問題を解決し、チャンスを活かすためのツール。それは2作目の著書『未来を発明するためにいまできること』(高遠裕子訳、三ツ松新解説、CCCメディアハウス)で取り上げた。

 そして第三に必要なのが、ひらめきを形にするためのロードマップだ。最新刊『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』のテーマである。このシリーズでは、本書に収められたさまざまなエピソードをいくつか抜粋し、シーリグのメッセージと共に紹介していく。

※スタンフォード大学 集中講義(1):悪行をやり尽くした末、慈善活動家になった男の話
※スタンフォード大学 集中講義(2):レゴ社の「原点」が記されていた1974年の手紙
※スタンフォード大学 集中講義(4):やる気の源を尋ねたら、その会社は数か月後に行き詰まった

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『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』
 ティナ・シーリグ 著
 高遠裕子 訳
 三ツ松 新 解説
 CCCメディアハウス



『20歳のときに知っておきたかったこと
 ――スタンフォード大学 集中講義』
 ティナ・シーリグ 著
 高遠裕子 訳
 三ツ松 新 解説
 CCCメディアハウス



『未来を発明するためにいまできること
 ――スタンフォード大学 集中講義II』
 ティナ・シーリグ 著
 高遠裕子 訳
 三ツ松 新 解説
 CCCメディアハウス




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