やる気の源を尋ねたら、その会社は数か月後に行き詰まった
ニューズウィーク日本版 / 2016年2月19日 15時42分
やる気と成功の関係については、アップルの元「伝道師(エバンジェリスト)」であり、ハイテク企業の投資家として起業関連の著書も多いガイ・カワサキがその重要性を指摘しています。
儲けだけを追い求める企業よりも、強い使命感をもった企業が成功する確率の方がかなり高いと、ガイは言います。スタンフォード大学起業リーダー連続講演の一部を紹介しましょう。
起業家精神について、私が時に痛い思いをしながら発見し学んだことは、事業の意義を見出すことがすべて、ということです。カネ儲けを狙って起業する人が非常に多いのは事実で、手っ取り早くカネを稼ごうと、ネット企業が次々と出現しました。ですが、私が起業した企業や出資した企業、または関係のある企業を見てきて気づいたのは、成功する企業は例外なく、最初から世界をがらりと変えようとか、世界を良くしよう、有意義なことをしようという意図をもって設立された企業だということです。こうした企業なら成功します。
◇ ◇ ◇
【参考記事】起業家育成のカリスマに学ぶ成功の極意
理想主義的だとか、実用的なスキルではないなどと軽視してはいけない。アメリカの一流大学の起業家育成プログラムで重視されていることの1つが、やる気(モチベーション)なのである。夏のインターンシップを終えた学生たちが大学に戻って来る秋には、学生1人ひとりに「どうしたらやる気になるかを探る機会」が設けられるほどだという。
想像力がクリエイティビティを生み、クリエイティビティがイノベーションにつながり、イノベーションが起業家精神を呼び起こす。そして、起業家精神が新たな想像力を刺激し......という「インベンション・サイクル」を、シーリグは本書で提唱している。ここで取り上げた「強い意欲」は、サイクルの1要素であるクリエイティビティの原動力となる。
シーリグによれば、思い描く未来にたどり着くために必要なことは3つある。第一が起業家的な心構えで、それは世界各国でベストセラーとなった著書『20歳のときに知っておきたかったこと』(高遠裕子訳、三ツ松新解説、CCCメディアハウス)にまとめたという。第二は、問題を解決し、チャンスを活かすためのツール。それは2作目の著書『未来を発明するためにいまできること』(高遠裕子訳、三ツ松新解説、CCCメディアハウス)で取り上げた。
そして第三に必要なのが、ひらめきを形にするためのロードマップだ。最新刊『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』のテーマである。このシリーズでは、本書に収められたさまざまなエピソードをいくつか抜粋し、シーリグのメッセージと共に紹介していく。
※スタンフォード大学 集中講義(1):悪行をやり尽くした末、慈善活動家になった男の話
※スタンフォード大学 集中講義(2):レゴ社の「原点」が記されていた1974年の手紙
※スタンフォード大学 集中講義(3):ある女性の人生を変えた、ビル・ゲイツがソファに座った写真
※次回は2月23日に掲載予定です。
<*下の画像をクリックするとAmazonのサイトに繋がります>
『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』
ティナ・シーリグ 著
高遠裕子 訳
三ツ松 新 解説
CCCメディアハウス
『20歳のときに知っておきたかったこと
――スタンフォード大学 集中講義』
ティナ・シーリグ 著
高遠裕子 訳
三ツ松 新 解説
CCCメディアハウス
『未来を発明するためにいまできること
――スタンフォード大学 集中講義II』
ティナ・シーリグ 著
高遠裕子 訳
三ツ松 新 解説
CCCメディアハウス
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