北朝鮮がアメリカに平和協定要求――新華網は2015年10月18日にすでに報道
ニューズウィーク日本版 / 2016年2月22日 20時50分
朝鮮半島に平和をもたらす方法は二つある。
その一は、(北)朝鮮が核を中心として自衛的国防力を高めていき、冷戦構造の形を取って、アメリカが(朝鮮戦争休戦後)間断なく強めている軍事的威嚇に対してバランスを保つこと。
もう一つは、アメリカが(北)朝鮮に対する敵視政策を放棄して、(北)朝鮮が定義している平和条約締結に署名し、互いに信頼する、真の永久的な平和を出現させることだ。
もし米朝間に真の信頼を構築することができ、戦争の根源を除くことができれば、核軍備競争を初めて終わらせることができ、堅固な平和がやってくる。
アメリカはいつまでも平和条約締結を回避すべきではない。正しい選択をすることを望む。
北朝鮮外務省の声明は、おおむね以上のようなものである。
これに対しては中国も賛同の意を表しているために、中国政府と中国共産党のメディアが大きく扱ったものと判断される。
中国では「アメリカは北朝鮮問題を口実に、朝鮮半島に乗り出し、中国を追いこもうとしている」という論調が多い。
中国大陸のネットには、「ひょっとしたら北朝鮮が暴走する陰には、アメリカがいるのではないか」という一般ユーザーのコメントさえ見られる。つまり「アメリカが陰で北朝鮮をコントロールし、中国を追い込み、アジアで優位な立場に立とうとしている」という意味だ。「北朝鮮問題がないと、アメリカは困るんじゃないのか」という書き込みもある。
北朝鮮をおとなしくさせることができない中国のジレンマは、複雑な形で噴出していると言っていいだろう。
[執筆者]
遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
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※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
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