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【動画】外国人を(嵐よりも)魅了するサムライ集団「TAO」って何者?

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月23日 11時9分

 大分県を本拠地とするTAOのプロダクション事務所によれば、男女34人のパフォーマーは18~45歳の平均25歳。入団希望者は年間100人に上るが、狭き門をくぐって入団できるのはそのうち10人程度だ。ほとんどが和太鼓経験者だが、前職はロックバンド、美容師、バーテンダー、自衛隊員などさまざま。彼ら全員が大分県竹田市久住町の山奥に建設された複合施設「TAOの里」で共同生活を送りながら、毎年新作のオリジナル舞台を作っているという。

 ちなみにTAOの里は稽古場やステージ、トレーニングジム、スパ、ゲストハウスなどを備えているが、住居空間は研修生だと集団でログハウス、新人はプレハブ、中堅はホテルの客室のような部屋に1人ずつ、ベテランは高級マンションと、出世するごとにランクアップしていくというから面白い。

 TAOは結成時から海外を見据えていた。もともとはラスベガスにチャレンジしたいという和太鼓グループがその夢を実現できず、路頭に迷っていたところに、外資系商社や大手流通企業で勤務経験のある藤高郁夫氏が手を貸す形で95年に活動を開始。太鼓とは無縁だった藤高氏が社長となり、舞台演出や音楽制作など総指揮を執って現在のTAOを作り上げたという。

 日本でも全国ツアーをするなど多くの公演をこなしているが、2004年には初の海外公演を果たし、スコットランドで毎年開かれる世界的な芸術祭「エジンバラ・フェスティバル・フリンジ」に参加。1800団体が集う同フェスティバルでその年と翌年のチケットセールスNo.1を樹立するほど人気を博してワールドツアーを開始し、現在までにアジアを含む世界22カ国で650万人以上を動員してきた。21年目での「ブロードウェイ」デビューは、むしろ遅すぎたと言えるほどかもしれない。

 当然のことながら、当初は伝統芸能を現代的なエンターテインメントに昇華させるTAOのやり方には各地の和太鼓保存会などから賛否両論あったという。とはいえ、TAOの舞台が日本の和太鼓ファンにとどまらず、世界で受け入れられているのは事実だ。TAOが今後向かうのは、アイリッシュダンスとアイルランド音楽の世界的ショー『リバーダンス』のような道かもしれない。アイルランドの「顔」にまで成長したリバーダンスは、TAOと同じ95年の初演以来、全世界で2500万人以上を魅了してきた。

 TAOは「日本の顔」になれるのだろうか。14年には観光庁から「観光庁長官表彰」を送られたというが、政府はどうか、全世界に放映されるオリンピックで「嵐のニャー」と同じ轍は踏まないでほしい。TAOにはCBSとニューヨーカー、国外のファンたちが太鼓判を押している。少なくとも、外国人から失笑されることはないはずだ。

小暮聡子(ニューヨーク支局)


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