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プライベートジェットで「料金後払いの世界旅行」を実現する方法

ニューズウィーク日本版 / 2016年2月23日 17時43分

 映画館について見直したチームもあります。常識だと思うものを挙げ、それを疑ってみると、面白い映画館のアイデアが出てきました。ムービーにかけた「楽して動いて(Move Ease)」は、自転車漕ぎと映画館を組み合わせるアイデアで、観客はじっと座っているのではなく、エクササイズをしながら映画を鑑賞します。映画を見終わった時点で料金を支払えばよく、運動量が多いほど料金は安くなる仕組みにして、しっかり運動するよう促します。

 フレームを変えて問題を捉え直すには、思いきりばかげたアイデアを出す、という方法もあります。詳しくは『20歳のときに知っておきたかったこと』に書きましたが、ばかげたアイデアを考えることは、何ができると思っているのかを探っていくことでもあり、それによって自分の思い込みがあきらかになります。朝食にお菓子を食べる、毎日おなじ服を着る、職場にヒッチハイクで行く、といったアイデアはばかばかしいと思えるかもしれませんが、そうしたものを挙げていくことが、新しい朝食や新しいファッション、そして新しい通勤スタイルのアイデアにつながったりするのです。

【参考記事】起業家育成のカリスマに学ぶ成功の極意

 最近、ある学生グループに、彼らの生活では不可能と思えるような挑戦を考えてもらいました。全員で話し合って出てきたのは世界旅行でした。世界中を旅したいけれど、資金がまったくありません。タダで世界を旅するなんて、とても無理だと思えます。次に、これを実現するのに、最悪と思える案を考えてもらいました。多くのアイデアが出ましたが、そのなかのひとつが、プライベートジェットを予約して料金を後払いにする、というものでした。ばかばかしく、到底理屈に合わないアイデアに思えます。

 そこで、もう一度、ブレインストーミングをして、どうすれば実現できるか考えてもらいました。すると、ものの数分で、うまくいく可能性のある方法が出てきたのです。二〇歳の若者のグループが各国を旅して、現地でビジネスを始める様子を記録したリアリティ番組を制作しようというのです。毎週、違う国や都市を取り上げ、現地のニーズに合わせた事業を考えます。視聴者は、さまざまな地域の暮らしや現地の事業環境を知り、若者が事業を立ち上げる様子を楽しみます。これを実現するために、地域ごとにスポンサー企業を探します。

 こういう風にみると、資金なしで世界を旅行することは、それほど手の届かない目標ではないように思えてきます。学生はこのアイデアをこれ以上深めことはしませんでしたが、問題を違った視点からみると斬新なアイデアが浮かんでくることに気づきました。このようにフレームを変えることが、イノベーションのもうひとつのカギなのです。

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