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日本をデフレから救うのは資本主義のモデルチェンジ

ニューズウィーク日本版 / 2016年3月1日 17時30分

 資本主義はモデルチェンジの時代にある。自動運転の無人タクシーをいつでも呼べることにすれば、自家用車の数は減るだろう。「所有よりシェアやレンタル」で済ます部分が増えてくる。今、世界からは紙幣が消えてデジタルでの支払いですべてが行われようとしている。そうなると当局はネット空間の取引を管理・誘導することで金融政策を実施するようになるだろう。

 ロボットなど新技術の普及でモノ作りのコストが下がり、自動化、迅速化が進むと、「あれが欲しい」と言うと次の日には届けられる時代も来るかもしれない。経済計画という無理なこと(人間の欲望は予測不可能なので、生産の完全な計画化は不可能)をせずも、豊かな「社会主義的」な社会が実現できる。

 2月26・27日には上海でG20財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。中国からの資本流出を規制すれば人民元のレートの大ブレや株式相場の大揺れも止められるという、対症療法が議論の焦点になるようだ。そんな短期的なことはG20にでも任せ、日本はG7やOECD(経済協力開発機構)の場で、金本位制でもバブルでもない、「人間の生活水準向上本位」の成長モデルを提唱していくべきだ。

【参考記事】市場:いよいよ終わりの始まりが始まった

 アベノミクスは金融の矢一本に負担を押し付けるのでなく、財政と成長戦略の2本の矢を弓に再びつがえてほしい。

[2016.3. 1号掲載]
河東哲夫(本誌コラムニスト)


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