支援物資を高値で売るシリア政権の「戦術」
ニューズウィーク日本版 / 2016年3月10日 17時33分
【参考記事】記者が見たシリア無差別攻撃の現実
この戦術について、ジョン・ケリー米国務長官は声明で、シリア政府軍に包囲され、餓死者も出たと見られるダマスカス郊外のマダヤを例に挙げ、「マダヤの悲劇が唯一のケースではない」と、アサド政権の戦争犯罪を非難した。
「昨年の年明けから、国連は支援物資を配るようシリア政府に113回要請した。あきれたことに、実際に配ったのは13回だけだ。その間に人々は死に、子供たちは苦しんでいる。戦闘に巻き込まれたからではなく、『降伏か、餓死か』という意図的な戦術のために」と、ケリーは語った。
シリア軍とロシア軍を区別するのは困難だ。ロシアとシリアは徒党を組み、アサド政権の敵と見れば見境なく空爆を行い、いずれも民間人を標的にする戦術を使っている。
シリア人権ネットワークが確認したシリア全土での1月の民間人の死者は1382人。うちシリア政府軍が516人、ロシアが679人を殺した。民間人の死者の86%はアサド政権とロシアによるもということになる。ISISが1月に殺した民間人は98人で、全体の7%だ。
アサド政権は2月27日にシリアの停戦協定が発効する前から、この協定はテロ組織には適用されないとして、アルカイダ系武装組織ヌスラ戦線が掌握しているダラヤなど一部の都市には攻撃を続行すると明言していた。デリゾールも政府軍の交戦相手がISISであるため、停戦協定から除外される。アサド政権が兵糧攻めや市街地への空爆など無差別攻撃を続けるなら、住民は飢餓と恐怖に苦しみ続けることになる。
*筆者のフィクラム(仮名)は人権団体サマのスタッフとしてデリゾールで活動。前線で救急医療に当たるほか、アルワン・チームの一員としてメディアに現地報告を行っている。
This article first appeared on the Atlantic Council site.
フィクラム
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