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悪魔のように殺し、聖人のごとく慕われた男

ニューズウィーク日本版 / 2016年3月11日 14時53分

【参考記事】テロ組織とゲリラを結ぶ危険な線

 最初はもたもたしたところもあるが、後半はアクションもにらみ合いのシーンも観客をぐいぐい引っぱっていく。何度もニックに「やめるんだ!」と叫びたくなるが、愛という魔法にかけられた彼はどんどん悪に染まってしまう。追う者と追われる者、犯罪者と聖者の区別は曖昧になり、ニックはやがて、自分もエスコバルにとっては捨て駒にすぎないと理解する。

 エスコバルに哀れみを感じる瞬間もある。現実の彼が多くの人をむごたらしく殺したことを考えると、映画は美化し過ぎだという批判もあるだろう。

 だが、悪人も傷つくときがあり、家庭人としての時間がある。それを目の当たりにすると、異常な殺人者も怪物ではなく、ごく普通の人間なのだと気付く。

 観客は、自分も悪に走る可能性があると認めないわけにはいかなくなる。悪とは、おとぎ話に出てくる人食い鬼のようなものではない。それは人間の顔をした私たちの中に潜んでいる。

ルドルフ・ハーゾグ


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