1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

フロリダ原発の周辺住民が怯える「フクシマ」の悪夢

ニューズウィーク日本版 / 2016年3月11日 17時37分

【参考記事】アメリカ「最も汚い核施設」の実態

 この温水は、既にかなりの環境破壊が進んでいるエバーグレーズの淡水域を脅かしている。冷却用水路の周辺に生息する「アメリカワニは温水でうだっている」と、ラーナー市長は言う。

 サウスマイアミ市のフィリップ・ストッダード市長(フロリダ国際大学の生物科学教授でもある)は、特に海水面の上昇を考慮すると、ターキーポイント原発は単純に間違った場所にあるという。「海水面が上昇すれば、島などが水没して荒天時の高潮から防御するものは無くなる。ここは原発を建設するのに適していない。エバーグレーズとビスケーン湾の中間、半島の付け根に位置し、住民の避難は困難だ」

 温水と一緒にその他の汚染物質も地下水に漏出して、住民の健康や安全を脅かしている、とストッダードは指摘する。これには数年前にオハイオ州トレドで水道水に混入して給水をストップさせた危険なシアノバクテリア(細菌の一種)も含まれている。原発によってビスケーン湾内のアンモニアとリン酸肥料のレベルも増加しているという。総合的に見れば、原発から発生する様々な問題は「水質浄化法」に違反している、とストッダードは言う。

 ラーナーは環境保護庁(EPA)の役人に会い、問題を説明した。「地下水が汚染されたら他に水源はない」と、彼女は訴えた。「誰も第二のフリント(水道水の汚染で健康被害も出た町)は望まない」

【参考記事】非常事態宣言まで出たフリント市の水道汚染は「構造的人災」

 ターキーポイントの原発を運転し、さらに2基を増設する計画のフロリダ電力はどう考えているのか。広報担当者はこう言う。「飲料水にも公衆衛生にも何の影響もない」

 福島第一原発事故のようなこともあり得るのではないか、という質問については、ターキーポイント原発は92年にカテゴリー5という最強のハリケーン・アンドリューの直撃を受けたが、びくともしなかった、と説明。「だから市民には安心してもらいたい」

ニナ・バーリー


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください