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アップルも撃沈させた中国一恐ろしいテレビ特番、今年の被害者は?

ニューズウィーク日本版 / 2016年3月17日 18時15分

謝罪の優等生はマクドナルド、失敗例はアップル

 速攻謝罪の好例とされているのが、2012年『315晩会』でのマクドナルドの対応だ。「調理から一定時間が過ぎた商品は廃棄せよ」とマニュアルにはあるのに販売を続けている店舗があったという。たいしたネタではないが、マクドナルド中国は番組終了からわずか30分後にはSNSで謝罪声明を発表し、批判の拡大を防いだ。

 逆に失敗例とされているのが2013年『315晩会』でのアップル。中国の法律では不良品を交換した場合、交換日から1年間が新たな保証期間となる。極論を言うと、不良品を交換し続ければ無限に保証期間が延びてしまうことになる。そこでアップルは、中国以外の国では不具合があったiPhoneは交換で対応していたが、中国では裏カバーだけは元の製品のものを流用。「一部の部品を換えただけで、新たな商品に交換したわけではない」と主張していた。これが「中国人民だけが差別されている」と叩かれたのだ。

 アップルの対応だが、番組放送から1週間後に声明を発表し、事情を説明した。中国人を差別しているわけではないと理解を求めた声明だったが、謝罪をしなかったとして中国メディアの批判が殺到。中国共産党の機関紙・人民日報が「アップルの"比類なき"傲慢を叩け」とのタイトルで批判キャンペーンをはる騒ぎにまで拡大し、謝罪に追い込まれた。

【参考記事】iPhone 6s、中国人は「ローズゴールド」がお好き

2016年のターゲットは中国IT企業だった

 さて、今年の『315晩会』ではどのような企業が血祭りに上げられたのか。意外なことに、外資系企業の被害はゼロだった。変わってメインターゲットとなったのが中国IT企業だ。

 外食宅配サービスの「餓了麼」は、サイト上では清潔な店舗写真が掲載されているのに、実際にはド汚い厨房で料理が作られていたという詐欺で槍玉にあげられた。中古車販売マッチングサイトの「車易拍」は、売り手と買い手に提示される金額が異なっており、その差額を利益にしているにもかかわらず、さらに手数料を取っていることが不当行為だと糾弾された。

 一番面白かったのは「ネットショップやレストラン・クチコミサイトの高評価は金で買える」というネタだろうか。いかにもよくありそうな話ではあるが、その規模がすさまじい。記者が潜入取材した組織だけで参加者は1万人超。業界全体では数十万人がサクラとして働き、ニセの評価をつけまくっているという。スマホさえあれば誰でも簡単にできる、ちょっとしたバイトとして定着しているようだ。

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