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【再録】生前のカダフィは「国民に愛されている」と言っていた

ニューズウィーク日本版 / 2016年3月24日 18時30分

 だが、われわれはアンゴラの解放運動を支持した。ジンバブエのロバート・ムガベ(大統領)も支持し、基地を提供してやった。彼らはテロリストではないだろう?

――しかし93年12月に、あなたはIRAの代表とパレスチナ過激派のアフメド・ジブリルやアブ・ニダルに招待状を出し、リビアで会談しようとした。

 会いたい人物には自由に会ってかまわないはずだ。

――だが、あなたがテロを支援しているという印象が強まった。

 それはアメリカの誤解だ。ジブリルやニダルはテロリストではない。彼らは聖戦を戦っている。

――リビアにニダルの基地はあるのか。

 いや、ニダルは基地などもっていない。彼が生きているのかどうかも不明だ。私が招待したのに来なかったからだ。しかし、ニダルがアメリカに何をしたのかね? 何もしていない。彼の土地を占領したイスラエルに対してさえ、彼は何もしなかった。

――パンナム103便爆破の黒幕はジブリル、あるいはイラン人だという報道があるが。

 もしジブリルの犯行なら、そう名乗りを上げていただろう。だがイランなら、それなりの理由があるかもしれない。彼らはアメリカに民間航空機を撃墜されている。

――最近の出来事に移るが、(94年2月にユダヤ人入植者がパレスチナ人29人を殺した)「ヘブロンの虐殺」に対するパレスチナの報復を支持するか。

 パレスチナ人は毎日のように殺戮の犠牲になっている。彼らには自分の命を守る権利がある。

――リビア国民の間に不安が広がっているのでは? 昨年末に軍の一部が反乱を起こしたと伝えられているが。

 何のために、彼らが私に歯向かうのかね? クーデターを起こしてなんの得がある? 私は何ももっていない。リビアの政治体制は他国のそれとは違う。権力は国民の側にあるのだから、権力闘争などは無意味なのだ。

――国民全員があなたに満足しているのか。

 権力も武器も富も国民のものだ。私が手に入れて、国民に渡した。だから彼らは私を愛し、尊敬しているのだ。

――昨年末にはカイロで、リビアの反体制派のマンスール・キヒアが消息を絶っているが。

 大変心配している。彼もリビアの国民だ。カイロにはアメリカの諜報員がうようよしている。奴らの仕業だろう。

――あなたはパンナム機爆破事件へのリビアの関与を否定している。それなら、なぜ容疑者の引き渡しを拒むのか。

 本人の意思に反して引き渡すことは絶対にできない。彼らの人権を侵すことになるし、わが国の法律にも反する。

――経済制裁でリビアが石油を輸出できなくなれば、困るのはリビア国民ではないか。

 ヨーロッパのほうがもっと困るだろう。リビアに進出しているヨーロッパ企業は多いが、彼らは契約も仕事も原油も失うことになる。

――西側の人間があなたに敵意をいだくのはなぜだと思うか。

 私を知らないからだ。私のイメージはゆがめられている。たとえば私が詩人であることも、哲学、社会学、歴史学の教授であることも知られていない。私は最高指導者でなければ、作家か教師になっていただろう。


※このインタビューを行った記者の回顧録はこちら:【再録】念願のカダフィ単独取材、私は砂漠の町へ飛んだ

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[2006.2. 1号掲載]


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