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【再録】理数系女子の先駆者マリッサ・メイヤー

ニューズウィーク日本版 / 2016年3月31日 11時29分

 グーグルが女性技術者の採用に本腰を入れ始めたのはそれから。そのためのプログラムを作って、本気で努力を始めた。グーグルで女性従業員の割合が同業他社よりも高いのは創業者の2人が最初からとても力を入れてきたからだ。

 グーグルでは女性技術者の雇用に加えて、女性が働きやすい職場環境づくりにも力を入れている。例えば採用面接のとき、面接官に女性技術者を含めるようにしている。これは技術者同士の関係という意味で大きな意味があると思う。男性技術者には男としかコミュニケーションを取れない人が大勢いるから。

【参考記事】マリッサ・メイヤーは子育てなんかしない

――あなたが生まれ育ったのはウィスコンシン州だが、昔からコンピューター関係の仕事に就きたいと思っていたのか。

 最初は医者になりたかった。でもスタンフォード大学の1年生のとき、化学や生物学が得意だけれど、あまり達成感が感じられないことに気付いた。

 ところが必修科目の1つだったコンピューターサイエンスの授業では、毎日が新しい問題の連続。それをどう解決するか、新しいことをどう理論付けするか、今まで取り組んだことのない問題を解決するにはどんなアルゴリズムを作るか、毎日考えることができた。知的好奇心を大いに満たしてくれる分野だと思った。



――では高校生のときは頭でっかちなコンピューターおたくではなかったのか。

 スタンフォードに入学したその週に、初めて自分のコンピューターを買った。電源の入れ方からマウスの使い方まで教えてもらわなくてはいけなかった。多くの人は最初からマウスをうまく使えるのにね。1年生の後期に初めてコンピューターサイエンスの授業を取り、シンボリックシステムズというとても風変わりな専門課程に出合った。哲学と認知心理学、言語学、それにコンピューターサイエンスを混ぜ合わせたような科目よ。

――女子学生はあなた1人だけだったのか。

 コンピューターサイエンスの上級クラスではそうだったと思う。私は学内紙スタンフォード・デイリーを愛読していたのだけれど、ある日私のお気に入りのコラムニストが「キャンパス名物」の人々について書いていた。いつも広場にいて誰かが近くを通ると奇声を発する人など、誰もが知っているけれど名前は知らない人たちのリスト。

 くすくす笑いながらそのリストを読んでいたら、「コンピューターサイエンスの上級クラスにいるブロンドの女性」とある。最初は誰だろうと思ったけど、「やだ、私のことじゃない!」と気が付いた。自分がちょっと変わっていると気が付いたのはそのときだと思う。

――この業界で、男性なら多分直面しないような問題にぶつかったと感じたことはあるか。

 全然ない。とても大きなサポートを得ていると思う。スタンフォードで私の指導教員だったエリック・ロバーツ教授(コンピューターサイエンス)は本当によく気に掛けてくれて、こう言ってくれた。「君は本当にこの分野で優れている。きっと大成功するだろう」って。


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[2010.12.29号掲載]
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)


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