北朝鮮の対中非難は今に始まったことではない
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月5日 18時33分
2015年にも類似の現象が起きているが、長くなるので、列挙は以上までとする。
3月から対中国非難は決まっていた
中国でも報道されているが、日本の時事通信社が、3月28日、「中国の制裁同調は敵対行為=党文書で闘争指示-北朝鮮」という報道をしている。
それによれば、李英和・関西大学教授が、中国への闘争を呼び掛ける北朝鮮労働党中央本部の「方針指示文」のメモを入手したとのこと。3月10日に地方の下級幹部向けの講習会で示されたものを参加者が書き写したものだという。これは明らかに国連安全保障理事会における北朝鮮制裁決議に中国が賛同したことを恨んでのことで、核サミットでの米中首脳会談における習主席の発言(3月31日)を受けた反応ではない。
しかし日本のメディアの多くは、執拗なほど米中首脳会談における習主席の発言を流しながら、北朝鮮がそれを受けて「中国を暗示する非難をした」として、それを「異例」と位置付けることを怠らない。
これではまるで、今般の米中首脳会談が蜜月だったように映り、米中関係の真相から目をそらさせる。このことに関しては4月3日付の本コラム「ワシントン米中首脳会談、中国での報道」で書いた通りだ。
細かな違いのようでありながら、ここまでほぼ一斉に中朝関係を不正確にとらえるのは、その積み重ねによって中国の動きや北朝鮮の動きを見誤らせ、最終的には日本国の不利益につながるのではないかと憂慮する。
[執筆者]
遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
≪この筆者の記事一覧はこちら≫
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
この記事に関連するニュース
-
日中首脳会談が開催。習近平政権が石破政権に歩み寄る三つの理由
トウシル / 2024年11月21日 7時30分
-
APEC首脳会議の習近平主席「トランプ氏再登場」を意識した言動目立つ
RKB毎日放送 / 2024年11月18日 14時57分
-
米中首脳会談 バイデン氏、露防衛産業支援や台湾周辺での軍事活動に懸念伝える
産経ニュース / 2024年11月17日 17時15分
-
米中首脳会談、対話の重要性確認 トランプ政権でも継続望む
共同通信 / 2024年11月17日 11時24分
-
米中首脳会談 ペルーで16日開催 北朝鮮兵の参戦問題、台湾周辺も議論
産経ニュース / 2024年11月14日 9時30分
ランキング
-
1米海軍哨戒機が台湾海峡飛行、中国軍は「大げさな宣伝」と反発
ロイター / 2024年11月26日 18時33分
-
2政府が政労使会議開催、石破首相「今年の勢いで大幅な賃上げを」
ロイター / 2024年11月26日 13時46分
-
3パキスタン、元首相釈放求めデモ激化=首都に軍配備、衝突で死者も
時事通信 / 2024年11月26日 20時41分
-
4【速報】韓国外務省が「日本が見せた態度」への遺憾を日本大使館に伝える 「佐渡島の金山」の追悼式に不参加
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月26日 15時4分
-
5フィリピン正副大統領、対立激化が「殺し屋依頼」に発展 対米中外交に影響も
産経ニュース / 2024年11月26日 19時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください