パナマ文書に激怒するアイスランド国民の希望? アイスランド海賊党とは
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月11日 15時45分
4月3日に流出した「パナマ文書」が世界のメディアを賑わせている。リストにはイギリスのキャメロン首相の親類やロシアのプーチン大統領の知人、中国の習主席を含む共産党トップの親類など大国指導者の関係者も多数含まれており、説明責任への糾弾はまだ続きそうだ。
なかでももっともおおきな反響があったのは、アイスランドだろう。アイスランドでは、「パナマ文書」がリークされた翌日に首都・レイキャビクの国会議事堂前で大規模なデモが発生。参加者の数は人口の10%とも言われる。
pic.twitter.com/bKJqFnuneb— (╯°□°)╯︵ ┻━┻ (@w03_) 2016年4月4日
4月4日、アイスランド大規模デモの様子(Tweet by Jason Scott)
その大規模デモを受け、4月5日にはアイスランド首相が辞意を表明。「パナマ文書」が国家首脳の解任につながる第一例となった。
ところでアイスランドといえば、去年からその政治動向に異変が起きているということをご存知だろうか? 2012年に発足した「海賊党」という新興政党が支持率を伸ばし、世論調査で一年以上も与党を抑えて支持率一位を獲得しているのだ。
今回のデモにおいても、海賊党はSNSを駆使してその様子を実況。その動画や画像は世界中に拡散し、話題を集めている。「パナマ文書」後に行われた世論調査によれば、大多数の国民が首相の退陣を求める中、海賊党の支持率はさらに上昇し43%にまで登っている。
The protest continues. 3 hours in. Thanks for the eggs ^^ #PanamaLeaks #panamapapers #iceland pic.twitter.com/wdGiGOjn8O— Ásta Helgadóttir (@asta_fish) 2016年4月4日
国会議事堂に卵が投げられる様子を、国会議事堂の中からツイートする海賊党のエスタ・ヘルガドッター国会議員(Tweet by Ásta Helgadóttir)
海賊党とは?
海賊党はそもそも、2006年にスウェーデンで「デジタルテクノロジーをつかって政治をより良くする」ことを標榜し、「著作権法の改正」「オンライン上のプライバシー保護」「情報の自由なアクセス」などをマニフェストに掲げ設立された。その躍進はインターネットを通じて瞬く間にヨーロッパ中に広まり、同時に海賊党の政策もより包括的なものになっていく。その中には、「液体民主主義」と呼ばれる、インターネットを通じたオンライン投票・熟議システムの導入や、デジタルテクノロジーを使った政治の透明性の推進なども含まれる。2011年、海賊党はドイツ・ベルリンの市議選で得票率8.9%を得て第三党となる。また、スイス、オーストリア、チェコ、スペインの地方議会でも議席を得る。2009年と2014年の欧州議会選挙ではそれぞれスウェーデンとドイツから議席を獲得。2013年にアイスランドの総選挙で得票率5・1%で3議席を獲得し、はじめて国政に進出した。
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